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ミステリの祭典

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死んだレモン

作家 フィン・ベル
出版日2020年07月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 YMY
(2022/11/07 22:32登録)
冒頭、主人公が危機に陥るところから始まるというサスペンスフルな展開で魅せる謎解きミステリ。
謎解きの後、主人公が犯人たちと対決する現在のパートと、その対決までに至る、下半身不随で車椅子生活となった主人公が、心機一転の引っ越し先である一軒家で過去に起きたという誘拐殺人事件の真相を探る、というパートが交互に語られる。
そんなサスペンス中心の物語の合間に読者に全く予想がつかない方向での伏線を紛れ込ませているところも面白い。

No.1 6点 HORNET
(2021/07/31 21:49登録)
 交通事故により下半身の自由を奪われ、車椅子の身となったフィン・ベル。物語はフィンが、崖で宙づりになっている絶体絶命の現在から始まる。そこから、人生をやり直すつもりでこのニュージーランドの片田舎にやってきた数か月前からの回想が描かれ、過去の事件に巻き込まれていったストーリーが展開される。
 田舎の漁村という閉鎖された人間関係の中で、昔起きた幼女誘拐殺人事件。真犯人は囚われないまま現在に至り、村人はそのことから目を背けるように生きているが、村人と交わりのない変人、ゾイル兄弟の仕業だと皆が思っている。そんなゾイル兄弟の隣人となった主人公は、その理不尽な振る舞いが許せず、村人に止められつつも戦いを挑もうとする。
 牧歌的な舞台で繰り広げられる陰湿な探り合いは、往年の海外ミステリの雰囲気に似ていて興趣深かった。真相がどうなっているのか皆目分からないまま進んでいく中盤は少し退屈だったが、そのぶんラストへの期待は高まり、それなりの意外な真相が用意されていたのでまずますの読後感だった。

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