きたきた捕物帖 |
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作家 | 宮部みゆき |
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出版日 | 2020年05月 |
平均点 | 6.50点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 6点 | ALFA | |
(2022/04/04 22:20登録) 宮部みゆき最新の時代物ミステリー4編。 定評の「初ものがたり」などに比べるとミステリー風味も文章も軽く薄味である。 薄味その1.主人公がまだ若くプロの十手持ちではないため、社会のダークサイドに切り込むにはどうしても迫力不足。そのため謎解きもいささか締まりのないものになる。 薄味その2.宮部の人気作には心に刺さる言い回しがいくつかあるものだが、この作品には見当たらない。文章は読みやすくなめらかではあるが。 例えば「・・・こうした封印話は、こっちがいくら蓋をしようと思っても、蓋のほうから開きたがることがある。蓋は蓋の身で、長く口をつぐんできたことに疲れているのだろう。」( ばんば憑き「お文の影」)。古い秘密が漏れてしまうたとえとして見事な表現で、これだけでも作品を読んだ価値がある。 一冊の中で二、三か所はこれくらいの表現にめぐり合いたいものだ。 シリーズ化されるようなので、北一の成長とともに迫力が増すことを期待する。 なお、帯の「謎の稲荷寿司屋の正体が明らかに⁉」は誇大広告。すでに推測していること以上のものはない。 |
No.1 | 7点 | 猫サーカス | |
(2020/09/02 20:01登録) 岡っ引きの親分の頓死により、世間に放り出された末の子分・北一が主人公。親分の本業だった文庫売りを続けながら、様々な事件に関わっていく。本書は短編4作で構成されている。北一に長屋の世話をする、差配の富勘。親分の女房で、盲目だが耳と勘の鋭い松葉。欅屋敷の用人の青梅新兵衛。周囲の大人たちに期待されながら、成長していく北一の姿が気持ちいい。連続神隠し事件や、生まれ変わり騒動を発端とした殺人など、各話の内容も面白かった。第3話からは、湯屋の釜焚きの喜多次が登場。あることから北一に恩を感じて、協力者となる。タイトルの「きたきた」は、この二人を意味しているのだ。シリーズ化されるそうなので、これからのコンビとしての活躍にも期待したい。なお本書は、宮部の「桜ほうさら」と「<完本>初ものがたり」とリンクしている。 |