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ミステリの祭典

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老ヴォールの惑星

作家 小川一水
出版日2005年08月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 8点 虫暮部
(2026/02/13 17:09登録)
 「ギャルナフカの迷宮」「幸せになる箱庭」は、或る種の社会実験の新たなシミュレーション、と言う感じ。
 対して、見たことのない景色を描こうとした二編。表題作は異質な知性体の構築度が見事。だが、厳しく言えばあれは “設定” を書いただけ。
 そこから一歩も二歩も進んだのが「漂った男」。深刻なのに笑ってしまう状況設定も秀逸だが、その上で “何も無さ” をあれだけ書けることに感服。
 でもまぁ収録作四編どれもスグレモノである。

No.1 6点
(2020/08/24 17:18登録)
本著者の初期短編集。4編収録。
なんらかの共通テーマがあると思っていたが、何もない。みな全く異なるところが面白い。

『ギャルナフカの迷宮』と最後の『漂った男』は人間が主人公で、読みやすい。いずれも時間軸は長い。
前者は投獄地での話。まあSF設定の島流しモノのようなものか。ハッピーエンドというか、あまりにもきれいにカッコよく作られたラストなので、個人的には興ざめ感あり。でも中途はよかった。5点ぐらい。
後者は、これもある意味、島流しのようなものか。よくがんばった、という感じか。映画『オデッセイ』が連想される。これは6点。

『老ヴォールの惑星』と『幸せになる箱庭』はいずれも宇宙モノ。ハードSFと呼んでもいいかも。これらは時間軸がさらに長い。
前者は、とにかく壮大でロマンあふれる超大作(中編ではあるが)。こんな発想ができることに驚かされる。ただ、『ギャルナフカの迷宮』の後の2編目だったせいで、そのギャップからか、登場人物が変転していくせいか、内容や設定がすぐには頭に入って来ず、結局2度読みした。でもこれは貴重な作品。6.5点。
後者は前者と同様、知的生命体が登場するし、人類も登場する作品。読み始めから期待は膨らんでいったが、イマイチ乗り切れなかった。4.5点。

全体としては、きれいにまとめすぎるところが大いに気になる。やはり、ミステリーファンだから、ちょっとひねったラストを期待してしまう。
個人的には、国内SFでは、星新一や小松左京、筒井康隆ぐらいしか読んだことがなく、SF慣れしていないため、もうちょっと、どんでん返しのようなものがあればなぁ、と思ってしまった。
きれいにまとめるのがこの著者の特徴なのだろうか。

めずらしい作品を読めたという喜びはある。そういう意味では7,8点級。
でも本サイトはミステリーサイトなので、点数としてはこんなところか。

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