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ミステリの祭典

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銀色の国

作家 逸木裕
出版日2020年05月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 7点 ぷちレコード
(2022/11/22 23:16登録)
自殺対策NPO法人の代表・田宮は、ある自殺者が死の直前に見ていたVRについて、それが人を死に導く「自殺ゲーム」ではないかと疑問を抱いて調査を始めるが。
あくまでも現実の延長線上にあるリアルなテクノロジー、社会の歪みに潜む悪意、ヒリヒリした心理描写など、作者の作風の特徴が詰め込まれた小説になっている。田宮の苦悩を描くための点景だと思っていた登場人物が意外な役割を果たすなど、細かいエピソードが終盤に向けて効いてくるのが巧い。

No.1 8点 虫暮部
(2020/07/17 15:13登録)
 3分の1くらいで全体像はなんとなく読め、そして概ねその通りのところへ物語は巧みに着地した。これは褒め言葉。的確な伏線や安定した文章力があるからこそ、予想通りの成り行きでも心揺さぶられたのだ(“素人の調査が上手く行き過ぎ”なのは大目に見る)。但し、出来が良さが却って個性の弱さにつながっている感もある。
 人を死なせることでしか居場所を得られない者はどうしたらいいのか。実は私は割と肯定的で、人間社会はそういう諸々も呑み込んで成立しているのだから、そういう者がいるのも止むを得ないと思う(しかない)。
 他者の作品をネタバレ含めて取り込んでキャラクター設定の補強に使ったのは感心しない。

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