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ミステリの祭典

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ジョン・ディクスン・カーを読んだ男

作家 ウィリアム・ブリテン
出版日2007年09月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 E-BANKER
(2022/01/08 18:35登録)
「~を読んだ~」シリーズ全11編と、その他ノンシリーズ短編3編から成る作品集。
EQMM常連作家であるブリテンによる珠玉のパロディ群(!)
「~読んだ~」シリーズは1960年代から70年代に順次発表されたもの。

①「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」=このオチは知っていた。けど、やはり「哀愁」感じるラスト。
②「エラリー・クイーンを読んだ男」=これはなかなか面白い。なくなった金貨のありかは意外なところ・・・?
③「レックス・スタウトを読んだ女」=このオチはよく分からなかったんだけど・・・?
④「アガサ・クリスティを読んだ少年」=ある米国の街で起こった不思議な事件。なぜこんなことをするのか・・・? いかにも短編向きのプロット。
⑤「コナン・ドイルを読んだ男」=昔のクラスメイトから届いた一通の謎の手紙。でも、「こんなクラスメイトいたっけ?」という奴だし、内容はぶっ飛んでるし・・・。で、その真相は?
⑥「G・Kチェスタトンを読んだ男」=チェスタトンのブラウン神父といえば「逆説」・・・というわけで、無理矢理「逆説」に持ち込もうとする男。
⑦「ダシール・ハメットを読んだ男」=といえば、ハードボイルドということで、当然ながら本格ミステリーの名探偵とは異なる、ということが話の肝となる(みたい)。
⑧「ジョルジュ・シムノンを読んだ男」=これはなかなか気が利いてる。まぁ、別にメグレでなくてもよいと思うが・・・
⑨「ジョン・クリーシーを読んだ少女」=都筑道夫の「退職刑事」シリーズを想起させる安楽椅子探偵もの。
⑩「アイザック・アシモフを読んだ男たち」=「男たち」というのが肝。要は「黒後家蜘蛛会シリーズ」のパロディ。そうなると当然探偵役は・・・給仕役。
⑪「読まなかった男」=何を読まなかったのかは、本編を読んだのお楽しみ。
⑫「ザレツキーの鎖」=フーディーニを思わせる天才犯罪師VS彼を執拗に追いかける警察官。ある男の賭けに乗り、“ザレツキーの鎖”に繋がれたまま脱出し、宝物を盗み出すという試練にチャレンジすることに。結末は意外にも、というか「やっぱり・・・」
⑬「うそつき」=当然ながら嘘について虚々実々の話が展開されるのだが、イマイチよく分からない。
⑭「ブラッド街イレギュラーズ」=当然ながら「ベーカー街イレギュラーズ」をパロッたタイトルなのだが、あまり関係ないような・・・

以上、シリーズ11編+ノンシリーズ3編。
前半のパロディものは、どれも「ニヤリ」とする内容なのだが、正直ちょっと小粒。それよりはノンシリーズの方がキレを感じる。さすがはEQMM常連!
(シリーズものでは①④⑧あたりかな、それ以外では⑫が印象的)

No.1 6点 kanamori
(2010/04/16 20:54登録)
有名なミステリ作家のパロデイ「~を読んだ~」シリーズ11編と単発作品3作を収録した短編集。
表題作は既読ですが、倒叙もので、密室殺人を企てた男の皮肉な結末が笑える。この密室トリックは「密室講義」でばからしいとして無視されたものではなかったか。
「エラリー・クイーンを読んだ男」は金貨の隠し場所トリックでまずまずの佳作。
「レックス・スタウトを読んだ女」はサーカス劇場の殺人事件。ウルフの雰囲気をミスディレクションに使っていて巧い。
ほか、クリステイ、ドイル、チェスタトン、ハメット、アシモフなど錚々たるメンバーを揃えているが、後ろの作品になるほど完成度が落ちている気がします。
単発ものでは、「ザレツキーの鎖」が脱出もので最もトリッキー、結末のキレが抜群にいい傑作。
著者の代表シリーズ・ストラング先生ものは本格系のようで、続いて読んでみたい。

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