天使は黒い翼をもつ |
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作家 | エリオット・チェイズ |
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出版日 | 2019年12月 |
平均点 | 6.50点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 7点 | YMY | |
(2021/03/23 23:09登録) オーソドックスなれどストーリーテリングの妙と叙情的な筆致が素晴らしい。脱獄班の主人公が運命の女である娼婦とともに、完全犯罪のはずの強盗計画を実行し、破滅していくまでを描く、いわばノワールとしての物語の典型である。女への愛憎のファンタジーと破滅の美しさを描くノワールのお手本のような作品。 |
No.1 | 6点 | 猫サーカス | |
(2020/05/13 18:52登録) 男と女の運命の出会い。生き詰まった状況で、2人は先のことなどどうにでもなれとばかりに破滅的な行動に打って出る...。一部の犯罪小説ではおなじみの展開だ。この小説も同様の展開を見せる。米ルイジアナで石油堀りの仕事を終えた「俺」は娼婦とホテルで数日過ごした後、一緒に車に乗って出発する。目指すはデンヴァー。彼女を途中で降ろすつもりだったが、その価値観を聞かされて気が変わる。「俺」にはとっておきの犯罪計画があった。そいつを実行するには仲間が必要だ...。男と女の旅路は、徐々にその表情を変え、語らなかった過去が徐々に明かされる。犯罪そのものよりも、準備と計画の過程、そして犯行の後の日々を描くことに力を注いでいる。衝動的に生きる男女の抱く欲望とむなしさ、人間に対する視線。ねじ曲がっていながらも真に迫った心理描写を堪能できる。 |