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ミステリの祭典

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魔法人形
別題「悪魔人形」

作家 江戸川乱歩
出版日1970年09月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 4点 ボナンザ
(2021/02/06 22:07登録)
少女向け雑誌だから人形をテーマにして女の子出せばいいだろ!という安直な構成にも読めるが、中々引き込まれる。少年をさらうと裸にしたり(透明怪人)するが、少女は放置気味の二十面相。

No.1 6点 クリスティ再読
(2020/04/04 16:03登録)
「少年探偵団」シリーズ。言うまでもなく乱歩の児童向けなんだけど、本作の連載は講談社の老舗少女誌「少女クラブ」。それこそ戦前には吉屋信子が人気を博したり、この連載とほぼ同時期に「リボンの騎士」が載ってたりした少女向け名門雑誌である。なのでシリーズの中でも特に「少女向け」に特化した作品になる。「少年探偵団」は今ドキだと「萌え」を求めて読むことになっちゃうんだけど、本作は少女向けなので特に「萌え」要素が強い。気分転換にお楽しみ!

小学五年生の少女ルミ子ちゃんは公園で出会った人形遣いの男に連れらて、その「人形の家」を訪ねる。そこで出会った「魔法をかけられてもかまわないから、一生美しくいたいと思った」紅子人形に、あなたも人形になって美しいままに...と誘われる。ルミ子ちゃんの親に元には、ルミ子の生き人形と誘拐を示す脅迫が届き、小林少年は運送元をたどって潜入する。

となかなかホラー要素の強い幕開け。で、小林少年は女装してこの発送元の人形師赤堀鉄州の家に潜入するわけだ。なぜ女装?よくわからない(苦笑)。少女向けだから? でも小林少年の女装はシリーズ内でも結構頻繁。はっきり、萌えます。

やはり「人形きちがい」と兄の少年探偵団員進一くんにからかわれる少女サナエさんの元に、等身大の「ユリ子人形」が届けられる。美しいユリ子人形を巡って起きる怪現象。この家に秘蔵される「ほのおの王冠」に狙いが...進一くんが慕う明智探偵事務所の少女探偵マユミさんが、男装して少年探偵団とチンピラ別動隊を率いて、「ほのおの王冠」を守るべく出動した。

と今度は少女探偵の男装。そして捕らわれたマユミさんを巡って、地下パノラマ世界でのロボットの動物やら「獣装」やら。明智先生の登場は最後だけ。少年探偵団が主役張ってるタイプの作品で、団員の特技個性が出ててるし、特異な耽美世界を描いた本作は、シリーズの中でも秀作のうちだろう。子供の頃にやはり読んでて、やっぱり本作は他の作品とは区別して評者も記憶してるもの...
はい、おなかいっぱいです。ごちそうさま。やっぱり乱歩は「萌え」が解ってる。

いわゆる人形愛とは別タイプの「あなたも人形にならない?と人形に誘惑される」という人気モチーフのオリジネーターかもね。たとえば高橋葉介の「夢幻紳士 怪奇編」の「人形地獄」はこのモチーフの敷衍。こっちも傑作。

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