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ミステリの祭典

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10分間ミステリー THE BEST
「このミステリーがすごい!」大賞編集部 編

作家 アンソロジー(出版社編)
出版日2016年09月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 蟷螂の斧
(2022/10/17 21:19登録)
裏表紙より~『このミステリーがすごい!』大賞作家が贈る、様々な舞台設定、シチュエーションと、謎解きあり、ユーモアあり、涙あり、サスペンスあり、ホラーありのバラエティに富んだショート・ミステリー集。『10分間ミステリー』『もっとすごい! 10分間ミステリー』から作家自身が選んだ傑作と、15名の気鋭の作家が書き下ろした新作、全50作品を収録。手軽にじっくりと楽しめる、豪華な一冊です。~
「このミステリーがすごい!」には縁がないようで、50名中、たった6名の著者の作品しか読んでいません。
7点以上の作品(敬称略) 
①記念日(伽古屋圭市) 7点 夫の浮気で妻が蒸発したこともある。うるう年の結婚記念日には妻の出した問題を解くのが楽しみである。もう何年たったんだろう・・・反転
②ずっと、欲しかった女の子(矢樹純) 7点 学校に行かなくなった娘が母親に暴力を振るうようになる。「ママ、このままでいいって言って」・・・叙述
③お届けモノ(高山聖史) 7点 カラのクーラーボックスが2個届いた。いったい何のために・・・恐怖
④死を呼ぶ勲章(桂修司) 7点 医学部教授は研究業績が認められ褒章を授与された。二個目の勲章として、星形の金属片が送られてきたのだが・・・復讐
⑤世界からあなたの笑顔が消えた日(佐藤青南) 7点 事故により相貌失認(相手の顔が認識できない)となった私。それでも彼は私を愛してくれるという・・・何故 

6点の作品(題名・著者・紹介文)
⑥サクラ・サクラ(柚月裕子)玉砕の島、心震える大戦秘話
⑦初天神(降田天)人気落語家の、滋味深いオチのつけ方
⑧柿(友井羊)いとおしき老夫婦の愛の行方
⑨走馬灯(新藤卓広)人生の終わりに見えたものとは?
⑩今ひとたび(森川楓子)息子を奪われた母が殺人犯に思うこと
⑪抜け忍サドンデス(乾緑郎)裏切り者は誰だ?
⑫最後の客(梶永正史)定年を迎えたバス運転手の一日

No.1 5点 バード
(2020/03/22 06:52登録)
講談社が出している「自選ショート・ミステリー」と同様のコンセプトの本。収録作の9割が4点(イマイチ)~5点(まぁ楽しめた)の間だった。ショートショートの難しさを考慮すると、6点(楽しめた)超えが少ないのはしょうがない。
本編の他に「このミス」大賞作家50人分の著書一覧がついており、お得感満載。

<4点~5点外の作品書評>
越谷友華 「刑法第四五条」(6点)
普通の小説では、逮捕する、されないのために警察と犯人が攻防を繰り広げるが、本短編では逮捕後の刑期に関する駆け引きをしており、一風変わっていて面白かった。
また、刑法の勉強にもなった。

伽古屋圭市 「記念日」(7点)
主人公が思い出を語る中に潜む罠のスイッチが途中でONに切り替わる。その境目に気付けず自然に騙された。気付いた時には騙されているというのが、質の良い叙述物なんでしょうね。

柊サナカ 「靴磨きジャンの四角い永遠」(6点)
タネ明かしで「なるほど、そういうことか!」と腑に落ちる。純粋に話が好き。

塔山郁 「獲物」(3点)
残念ながら本アンソロジーワーストです。
中身が際立って酷いわけではないのだが、タイトルがいかん。このタイトルで素直に女の子が獲物だと思う読者はいないでしょ。書き出しとタイトルでオチまで読めてしまったので、他の作品より評価が低い。もう少し工夫が必要と思う。

影山匙 「脱走者の行方」(8点)
本アンソロジーのマイベスト。これも綺麗に騙された。
タクシー内から交番に場面が移る所に間を入れており、当然読者はそこで何かあったと考える。そういった読者心理を逆手にとった仕掛けがお見事。読後感も良く、総合的にvery good。

<もう一押しあれば6点だった作品>
加藤鉄児「五十六」
拓未司「澄み渡る青空」
篠原昌裕「最低の男」
水田美意子「七月七日に逢いましょう」
堀内公太郎「ゆうしゃのゆううつ」

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