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ミステリの祭典

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「新説邪馬台国の謎」殺人事件
埋宝伝説シリーズ 旧題「「マ」の邪馬台国殺紀行」

作家 荒巻義雄
出版日1989年07月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 4点 虫暮部
(2022/06/26 11:52登録)
 邪馬台国と殺人事件の謎を直接結び付ける荒業は良いが、他の部分はミステリとしての構造が雑に思える。
 荒巻義雄は、SF作品ではそれなりに雰囲気作りに貢献する文体なのに、ミステリ系は妙に通俗的。流行の伝奇ものでも書こうかな、だったらもうちょっと一般受けする文体に寄せた方がいいな、と言う心算がやり過ぎて戻せなくなった、って印象。

No.1 5点 nukkam
(2020/03/16 22:17登録)
(ネタバレなしです) 1989年発表の埋宝伝説シリーズ第4作の本格派推理小説で、当初のタイトルは「「マ」の邪馬台国殺紀行」でした。本書からは新しいシリーズ探偵役として荒尾十郎が登場します。もっとも次作の「「能登モーゼ伝説」殺人事件」(1990年)でシリーズは終焉なのですが。北海道で発見された画家の死体がどこか別の場所で殺されたらしいこと、彼が生前に邪馬台国を調べていたらしいことから彼の足取りを追うことが邪馬台国の謎解きにつながるプロットです。二本立ての謎解きは往々にして片寄ることが多いのですが本書の場合も歴史の謎解きには力が入っていて、高木彬光の「邪馬台国の秘密」(1972年)にまで触れている一方で安易にネタバレしない配慮を見せているのは先人作品のネタバレがマナー違反を感じさせた「黄河遺宝の謎を追え!」(1986年)からの進歩を感じさせます。しかしそれに比べて現実の殺人の謎解きは粗過ぎで、真相自体も魅力に欠けてしまっています。

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