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ミステリの祭典

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ロボット (R.U.R.)

作家 カレル・チャペック
出版日1992年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 5点 虫暮部
(2021/02/10 13:42登録)
 “最初のロボット”がこんなホムンクルスみたいなイメージだったのは意外。最初から“人類に反旗を翻す存在”として構想されたのは――考えてみれば当然か。便利にこき使われてきた存在が心を持てば……。
 つまらないとは言わないが、今となってはありきたりに感じる部分も多い。序幕、ヘレナが無知なまま“ロボットの解放”を求めるあたりは批評的で面白い。ロボットは皆同じ顔なんだよね。これどう上演したの?

No.1 8点 弾十六
(2020/03/11 19:43登録)
1920年出版のKarel Čapek作の戯曲R.U.R. (Rossum's Universal Robots)、初演はプラハ国立劇場1921年1月25日。岩波文庫、チェコ語の大家、千野栄一先生の翻訳で読了。
古本屋で見つけて、ああ、これも百周年か… と購入。名のみ知ってた有名作品だったので、この機会に読んでみました。
当時の不安な状況、特に第一次大戦とロシア革命の影響が大なのですが、現代の「AIでシンギュラリティが… 」とかぬかしてる奴らに読ませたい逸品。ロボットって「ニンゲンモドキ」のことだったなんて全然知りませんでした… 百年前と比べて、果たして世界は住みよくなってるのか? 本作や「われら」(1924)とか「すばらしい新世界」(1932)とかを読むと、どんどんそっちの世界に近づいていってるような気がします。序幕はコメディ、やがて悲しき第一幕から第三幕。原始肉(ギャートルズ)みたいな味わい。レアなんですが心にずっしりと来る作品でした。(カフカはこの作品を知っていたのだろうか?)
以下トリビア。Gutenbergのチェコ語版と英語訳(1923)を参照しました。
作中年代は1932年に生命素材を初めて人工的に製作、10年かけて人型をなんとか完成。15年以上かけて生産効率を上げ、現在に至る。なので少なくとも西暦1957年以降の話のようだ。
p47 百二十ドル(Sto dvacet dolarů): SFの話なので、貨幣価値を単純には当てはめられないのは百も承知だが、上演当時の観客は当時の米ドルに換算して受け取ったはず。米国消費者物価指数基準1920/2020(12.90倍)、$1=1417円で$120=17万円。RURの生産コスト(服付き)。「15年前には1万」だった。販売価格はp10のポスターによると一体150ドル(=21 万円)。
p48 ツェンチーク(centíku): 英語訳ではcentとしている。p47にドルが出て来てるので、セントと解釈して良いような気がする。(チェコ語の知識は全くありませんが…) 1920年当時のチェコスロヴァキアの貨幣単位はKoruna československá、1/100の補助単位はhaléř。セリフではパン1ポンド(=454g、1斤)はヨーロッパで2ツェンチークとあり、「セント」と解釈して28円。米国ではbread 1 poundが11.5cents(1920)=163円というデータあり。RURのお陰で物価が安くなってる、という設定なのかも。

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