home

ミステリの祭典

login
今昔百鬼拾遺 天狗
百鬼夜行シリーズ

作家 京極夏彦
出版日2019年06月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 じきる
(2021/02/28 21:48登録)
この仕掛けは結構強引なところがあると思うけど、時代を考慮すればギリギリラインには収まっているのかもしれない。
篠村美弥子とオカマの金ちゃんの再登場はシリーズファンとしては嬉しいが、こうなるとやはりエノさん不在が痛いかなぁ。

No.1 5点 人並由真
(2020/02/28 05:33登録)
(ネタバレなし)
 失踪した女性の服をまとった別人の死体が発見された? という発端の謎は魅力的だが、作品全体としては悪い意味でごく普通のミステリっぽい。登場人物が少ないため、真犯人の察しもすぐつくのも難。
 あと京極堂シリーズとその派生作品は、昭和二十年代の法医学がまだ未熟という世界観を底流に書かれていてそれ自体はもちろん良いのだが、この作品ではあまりよろしくない形でそういう形質に寄り掛かってしまった印象。
 
 さらに今回の物語の主題は、作品世界内の時代設定的には、たしかに物議を呼ぶような種類のものであろうが、一方で京極堂シリーズの正編と派生編が多く書かれ過ぎた結果、ネタ切れでこういうものを出してきたようにも思える。
(それでも作品全体を、極力いつものシリーズの質感に近づけようという作者の奮闘ぶりは感じたが。)

 ちなみに評者は、先行作の『鳴釜』はまだ未読なので、世間でファンが騒いでいる本作の第三のヒロイン・篠村美弥子の復活祭りに乗れないのは残念(とはいえ本作で初対面ながら、彼女の豪胆な魅力の一端は理解できたつもり)。
 あとクライマックスに爆発する美由紀の怒りの正論は今回もしごく真っ当だが、シリーズ三冊を間を空けずに読んだためか、おなじみのパターンが水戸黄門の印籠かドリフのコントのように思えてしまう。というより元ネタはもしかしたら昭和のバラエティ番組での初代・桂小金治か?

 それなりに面白かったが、京極堂シリーズの派生作品という前提から考えると、コレジャナイ感が横溢。
 昭和三十年代の「探偵倶楽部」か「探偵実話」に連載されて、そのまま一度も本にならず埋もれていた作品を発掘したのがこれだったとしたら、たぶん諸手を挙げて絶賛していただろうけど。

2レコード表示中です 書評