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ミステリの祭典

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ダークルーム

作家 近藤史恵
出版日2012年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 ことは
(2022/10/24 00:28登録)
近藤史恵の語り口はいいなぁ。どれもするすると読めてしまう。しかも、簡潔で映像的。
例えば、写真の現像についての説明では、こう。「現像されたフィルムを通して、光を印画紙に数秒あて、そのあと印画紙を現像液に浸けるだけで、鮮明な画像が浮き上がってくる」 作業をしている人の動きもイメージできないだろうか。
それに、少し気の利いた警句も交える。例えば、こう。「なにもわからなくなったとき、人が選ぶのはいちばん簡単なやり方だ。つまり、現状を維持すること」
ただし、プロットについては、多くは中盤でラストまでの展開が読めてしまう。あくまで「語り」を楽しむ作品と感じた。
個々の作品について、簡単にふれよう。
「マリアージュ」 解説でも触れているが、ラストの締め具合がよい。登場人物も、ほぼふたりしか出さず、焦点を絞っている。
「コワス」 これは完全にホラー。足音の使い方にセンスがある。
「SWEET BOYS」  短い描写で4人の登場人物がくっきりと浮かび上がっている。そのためプロットもすっきりとはいってくる。
「過去の絵」 これは失敗作だろう。日常の謎をメインに据えてしまったせいで、解決の魅力の無さが浮き彫りになっている。登場人物はとても魅力的で、前半、彼らが会話している部分はめっぽう楽しいだけに残念。
「水仙の季節」 これも双子が魅力的。ラストがみえてしまうのがもったいない。
「窓の下には」 子供の頃の心象風景が印象的な小編。
「ダークルーム」 主人公ふたりが魅力的。このふたりから、もっといろいろ話を展開できそうに思える。
「北緯六十度の恋」 これだけは、中盤で展開がよめなかった。これも主人公ふたりが魅力的。ラストシーンも印象的。1作選ぶなら本作。

No.1 6点 take5
(2020/02/23 22:50登録)
短編集です。
ダークルームは写真の暗室の事です。
本のタイトルになっていますが、
個人的にはラストの北緯60度の恋が一番です。

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