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ミステリの祭典

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神獣聖戦 Perfect Edition

作家 山田正紀
出版日2008年10月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 5点 虫暮部
(2022/03/16 12:05登録)
 動的な物語を或る種の背景に引っ込めてまで、本来は背景の役割であるところの “世界のありさま” を主役に引っ張り出している。上巻まるまる使って設定紹介をしているようなもので、正直そこは読みづらかった。記述を繰り返し重複させる悪癖もきつい。作者のアクロバットに付いて行けなかった気分で悔しい。
 後半ようやく登場人物(人に限らず)が前面に出て来て面白くなるが意外とあっさり終結。説明にここまで紙幅を割いておいて、具体的なアクションはこれだけ? いや、ページ数としては充分長い筈なんだけど、壮大な設定を延々読まされたせいでスケール感が狂っちゃったんだね。

 「テイク・オン・ミー」の歌詞が、厳密に言えばちょっと違う。“密室殺人” は有名なバカミス系トリックの応用?

No.1 7点 糸色女少
(2020/02/09 11:11登録)
背景は、航宙刺激ホルモン(FISH)を利用した非対称航行(アシメントリー・フライト)により、人類文明が光速の壁を突破した未来。恒星間宇宙へと羽ばたく人類から派生した二つの種、「鏡人=狂人(M・M)」と悪魔憑き(デモノマニア)との間で千年戦争が勃発。この壮大な戦いの結節点となる一人の男を軸に、さまざまな時間線のさまざまな物語が融合し交錯しつつ重なってゆく。
例えば、チェルノブイリ原発事故直後のある挿話では、天才物理学者の牧村が、ソビエト連邦崩壊を食い止めるような量子状態、「シュレーディンガーのソ連」の実現を求められる。
既発表の中編群もリミックスされることでその意味合いが変化し、めくるめくアイデアの奔流の中にのみ込まれる。小松左京「果てしなき流れの果てに」に正面から挑戦状を叩きつけている。

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