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ミステリの祭典

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松本清張あらかると
阿刀田高

作家 評論・エッセイ
出版日1997年12月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 斎藤警部
(2020/03/29 11:51登録)
“私たち編集者には、女性に関するなまな感じは絶対見せようとはされなかったですね。きれいごとですまされました”  鼎談篇より

エッセイ調の巻末解説集(+上記鼎談)。その昔阿刀田氏自身が編んだ「松本清張小説セレクション(全36巻)」に書いたもの。評論のSOWには遠くとも、丁寧な語りの積み上げに清張愛がひしひしと。 読んでない作が読みたくなる。
この類の書だから仕方無いが、ときおり妖怪ネタバラシも出没するだでに、注意。  

No.1 6点 蟷螂の斧
(2020/02/03 22:32登録)
「松本清張小説セレクション」全36巻の各巻末に掲載されたエッセイ風の解説集。
清張氏は「私の一本の映画」として「眼には眼を」(日本公開昭和33年)を選んでいます。翌年「霧の旗」を発表。著者の阿刀田氏はこの映画からヒントを得たなと直感したといいます。このことは別に問題ではないのですが・・・。
別章でアイデアの類似性について語られています。作家のT氏がある作品で受賞。その作品とそっくりの映画が先に作られ上映されていた。アイデアの盗用で表彰は納得できないとの声が上がる。T氏は「映画は見ていない。盗用の疑いは許せない」という。結果はそのまま受賞。著者は、「もし、盗用で断罪されるなら、小説家はすべての小説、映画、芝居などのあらすじを知っていなければならない。そんなことは不可能」「道義的に問うことは何もありません。しかし、ことさらに賞を与えて表彰することも適当ではないでしょう」というスタンス。結局二番手のアイデアであり、作品の評価としてはマイナス点となるということでした。納得。
なお、それとは別にオリジナリティの件で気になっていることがあります。それは江戸川乱歩氏、横溝正史氏の御大が、いわゆる「翻案」といわれる作品をどういう気持ちで発表していたのかということです(現在ならパクリ?)。「翻案」でありながら、著者のオリジナルであるとされている中編、短編があるような気がしてなりません(苦笑)。まあ、その点が解消するかどうか分かりませんけれど、「横溝正史読本」「江戸川乱歩と横溝正史」などを読んでみるつもりです。

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