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ミステリの祭典

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私が大好きな小説家を殺すまで

作家 斜線堂有紀
出版日2018年10月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2020/01/01 22:23登録)
突如失踪した人気小説家・遙川悠真。その背景には、彼が今まで誰にも明かさなかった一人の少女の存在があった。遙川悠真の小説を愛する少女・幕居梓は、偶然彼に命を救われたことから奇妙な共生関係を結ぶことになる。しかし、遙川が小説を書けなくなったことで二人の関係は一変する。梓は遙川を救うため彼のゴーストライターになることを決意するが…。才能を失った天才小説家と彼を救いたかった少女―なぜ彼女は最愛の人を殺さなければならなかったのか?
『BOOK』データベースより。

Amazonでの異様な評価の高さは何なのでしょう。
主人公の梓に同情の余地はあるものの、遙川も含めた登場人物の誰にも感情移入することが出来ませんでした。エゴとエゴのぶつかり合いでもって、終始一貫して暗いトーンでストーリーは進行していきます。詰まる所愛憎劇なんですね。
梓からすれば 自殺しようとしているところを大好きな小説家が救ってくれた⇒小説家に依存していく⇒彼がスランプに陥る⇒やがて彼は自己崩壊してく⇒彼を救いたいと願う⇒しかし状況は悪化する⇒梓がゴーストライターに仕立てられる⇒現状に疑問を抱く⇒決定的な間違いが起こり二人の間に亀裂が生じる⇒殺すことを決意する という流れです。
こうして見ると色々あったように感じるかもしれませんが(実際色々あった)、どうにも安直で短絡的な結論だった気がします。

愛が憎しみに変わる典型的な男と女の救いのない物語。面白い訳でもなく詰まらない訳でもないですが、梓、遙川双方の心情が私にはイマイチ理解できませんでした。正直期待を裏切られた気分がします。作風としては乙一に近い気もしますが、遠く及びませんでしたね。

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