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ミステリの祭典

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宇宙細胞

作家 黒葉雅人
出版日2008年09月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 5点 虫暮部
(2020/02/03 13:27登録)
 ぶっちゃけ、『ΑΩ』(小林泰三)みたいだ。“片手”と言う設定から『寄生獣』(岩明均)も想起させられる。『鉄腕バーディー』(ゆうきまさみ)にはバチルスなんてのが登場するし、遡れば『ソラリスの陽のもとに』(スタニスワフ・レム)、新しいところでは『粘菌人間ヒトモジ』(間瀬元朗)等。不定形の生命体とぐにぐにぷよぷよと言うのは一部の人類に普遍的な憧憬なのかもしれない。
 出発点を考えると割と順当な展開で、物凄い驚きは無い。ラストの部分も、もっとグイグイ読ませる文章力があればねぇ……偏執的な文体は意図的なものだと思うが、私とは微妙にセンスが合わなかった。全体的に、もう一つ何か欲しい感じだ。

No.1 4点 糸色女少
(2019/12/29 21:43登録)
南極で発見された異様な単細胞生物「粘体」が砕氷艦の上で次々に人間を食らい、異様な姿に変形する。乗員のほとんどはその犠牲になるが、ヒロインはなぜか変形が左腕だけで止まり、からくも生き延びる。
映画「遊星からの物体X」風にはじまった物語は猛スピードで進み、あっという間に東京は壊滅。後半は地球さえ捨てて宇宙のかなたに飛翔する。
文章やストーリーテリングはとても褒められないが、投入される大量の奇天烈なアイデアは英国SFの奇才、バリントン・J・ベイリーを彷彿とさせる。いい意味でも悪い意味でもSFの馬鹿馬鹿しさを凝縮した一冊。

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