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ミステリの祭典

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奇想小説集

作家 山田風太郎
出版日1995年03月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 8点 斎藤警部
(2020/08/18 10:40登録)
陰茎人/蝋人/満員島/自動射精機/ハカリン/万太郎の耳/紋次郎の職業/万人坑(ワンインカン)/黄色い下宿人
(講談社大衆文学館)

爛熟の「蝋人」、爆発の「満員島」、戦慄の「万人坑」、巧緻の「黄色い下宿人」が放つ閃光で少しは霞む他の作品群も全て、根本奇想と、時に統制され時に統制を突き破る豪快で多彩なストーリー延展術を誇示し、気づくと読者はあごをなでたり穴を掘ったり空を飛んだりしている。 物語質感ウェット⇔ドライのスペクトル幅広具合も凄い。 素広平太博士の名前は何度見ても笑ってしまいます。

No.1 7点 メルカトル
(2019/12/17 22:28登録)
戦後の東京で、青年と、神宮の森の樟をねぐらとする骨の軟かい美少女との愛欲を描いた「蝋人」、主人公の男のシンボルの形をした「鼻」を見て、女性が群がる「陰茎人」。グロテスクな表現の中に風刺とユーモアと哀愁を込め、医学的知識をも駆使して人間の“性”を描いた山田風太郎の初期短編集。全9編を収録。
『BOOK』データベースより。

ハチャメチャで女性蔑視が多々目に付く日本を、医学的見地や科学的立場から鋭くアプローチした作品が目立つ稀有な短編集。医師を目指していた風太郎流石です。
世間ではスケールの大きい『満員島』が受けているようですが、私的には『蝋人』がミステリ的にもストーリーとしても最も優れていると思いますし、一番好きですね。不可解な殺人事件を論理的に解決するのは本格ミステリにはまあ普通にあるパターンですが、実に奇妙な密室殺人を奇想で解決に導く力技は素晴らしいですよ。時代背景も生々しく、犯人に感情移入し同情を禁じ得ないという滅多にお目に掛かれない作品だと思います。

掉尾を飾るのはホームズを皮肉った『黄色い下宿人』。ロンドンに留学していた謎の東洋人が、ホームズの推理をバッサリ切り捨て事件を解決します。その人の正体とは一体?そこにも注目です。
他にも『陰茎人』『自動射精機』『ハカリン』(ハカとは破瓜のこと)など、誰が見てもすぐそれと気づくようなエロを、真面目に取り扱った作品が目白押しです。夫々ちゃんとオチも付いていますし、馬鹿馬鹿しいと一蹴できない何かを含んでいると思いますね。特に『自動射精機』の落とし方が個人的にはお気に入り。

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