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ミステリの祭典

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戦争獣戦争

作家 山田正紀
出版日2019年10月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 糸色女少
(2020/03/25 21:28登録)
圧倒的な迫力で書かれた本格長編SF。北朝鮮の使用済み核燃料を保管するプール中を泳ぐ不思議な動物が見つかる。生物が生存できないはずの空間で動いていたのは四次元生命体「戦争獣」だった。戦争獣は「生態系」と対をなす「死態系」に潜む「死命」の頂点に立つ存在だという。
高次元の原点に立つと、人類文明があまりに発達すぎるのは宇宙全体のためにならず、戦争はその過剰な蓄積を打ち砕き、バランスを回復するためのいわば清算システムなのだという。人類は、どうしても戦争をやめられないのだろうか。
物語は時空を超えて、人類のあらゆる文明と戦争の歴史を巻き込んだ壮大な規模で展開していく。その情報量の多さはすさまじい。哲学的な思考と手に汗握る冒険サスペンス要素がふんだんに盛り込まれた怒涛の力作である。

No.1 7点 虫暮部
(2019/11/30 16:14登録)
 現世と重なり合いつつ微妙に違う世界で戦いに明け暮れる種族、と言った設定は目新しくもないが、山田正紀は巧みなエピソード構築、鮮やかな視覚的イメージ、そして言葉自体の存在感で厚みの付与に成功している。でも腐肉や糞便に関するイメージ喚起力は困るな~。
 惜しむらくは少々贅肉を付け過ぎてリーダビリティが犠牲になっている嫌いがある。3分の2を過ぎて読み疲れた頃にググッと話が収斂して(中原さんのエピソードは泣けた)オオッと来た後がまた長い。もう少し流れが良くなれば結末のカタルシスも増すと思うのだが、この作者の大作主義は良し悪しなので全部込みで付き合うしかないのだろう。

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