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ミステリの祭典

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引擎/ENGINE

作家 矢作俊彦
出版日2011年05月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 八二一
(2020/01/10 19:36登録)
ファム・ファタルに魅入られた刑事の転落を描く作者の筆は、あまりにもヴィヴィッド。荒っぽく過激なハードボイルドだが洗練された語り口で読ませる。

No.1 6点 tider-tiger
(2019/12/08 21:25登録)
~築地署員の片瀬游二(りゅうじ)は馴染の中国人からマイバッハの強奪を企図する窃盗団に関しての情報提供を受けた。築地署長は大量の動員をかけることを決意し、游二も先輩刑事と狙われているマイバッハを警察車両から見張っている。夜明け近くになって車の爆音が轟く。游二が一人車を降りて様子を見に行くと、一台のランチアがやって来て宝石店の前で停まり、女が一人降りた。
そのとき、一緒に張り込みをしていた先輩署員から連絡が入る。
「すぐに戻ってくれ!」
だが、車を降りた女が游二の目の前で宝石店のショーウインドウに銃をぶっ放しはじめたのだった。~

大藪春彦を目指しなさいと言ってくれた恩人に献辞が捧げられている。
矢作が大藪春彦を目指すとこうなってしまうのか……。
カーチェイス、銃撃戦、挙句の果てには爆弾まで。ここはどこの日本ですか?とにかく派手。やたらと人が死ぬ。爆発する。怪しい外国人が大勢出てくる。一人で『西部警察』をやっている。 かなりクレイジーな人物が登場する。
いち刑事がこんなとんでもない事案に一人で食い込んでいけるものなのか。御都合主義や無理な偶然が散見され、かなり無茶苦茶な話である。だが、引き込まれてしまう。困ったものだ。
三人称小説だが、しばしばそれを忘れるくらいの、かなり一人称的な三人称で書かれている。かなりのテクニックだと思った。
装飾は少なめのアクション重視、スピード感勝負の文章。アクションシーンではノリが良すぎてなにが起きているのかよくわからなくなったりもする。荒唐無稽を覆い隠すための作戦か? 
矢作の良さはもちろん出てはいるが、チャンドラーの匂いは後退しているので、そういう矢作を期待しているのなら別の作品を選んだ方がいい。
あまり考えてはいけない。感じるんだ。そういう作品。
面白かったし、ラストもよかった。
7点つけたいが、あまりにも強引なので1点マイナス。

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