魔女の不在証明 |
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作家 | エリザベス・フェラーズ |
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出版日 | 2019年09月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 5点 | 空 | |
(2024/09/15 17:15登録) ナポリからそう遠くないイタリアの町を舞台にした作品で、巻末解説によれば、フェラーズには本作を含め9編外国を舞台にした作品があるそうです。主人公のルースが、ある意味共犯者の男とナポリまでバスで向かうシーンなど、なかなかイタリアらしい雰囲気が味わえます。全編ルースの視点から描かれていて、殺人事件に巻き込まれた彼女があたふたしながら身の潔白を証明しようとするところ、のんびり系サスペンスとして楽しめました。解説ではコージー・タイプとも書かれています。 冒頭一見不思議な事件が起こるのですが、ただ読者にすぐ見当がつくだけでなく、作中人物たちも簡単に解明してしまいますし、謎解き的にはnukkamさんご指摘のとおり、ゆるゆるです。真犯人の設定もすっきりできません。ただ、途中のすっとぼけた会話の中で出てきたことが伏線になっていた点だけは、感心しました。 |
No.1 | 5点 | nukkam | |
(2019/09/16 20:13登録) (ネタバレなしです) 1952年発表の本格派推理小説です。同じ被害者の死体が別々の場所で発見されたらしいという奇妙な事件で幕開けし、あやふやな証言にあやふやなアリバイと、ある作中人物が述べているように「何を考えるべきかも、どうしたらいいかもわからない」状態が続きます。下手な書き方だと退屈極まりなくなるのですが、主人公の混乱を上手くサスペンスに絡めているのがよい工夫です。これで複雑な真相説明をすっきり着地できていればかなりの傑作と評価できるのですが、どうも一部の謎が放ったらかしになってしまった印象を受けました。本当の被害者でない方の死体の身元については「警察は(中略)自分たちで推理するはずだ」で片づけてしまっているし、第2の事件についてはほとんど推理されてません。さらに終盤の第21章の終りで起きた悲劇に至っては尻切れトンボではないでしょうか。 |