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ミステリの祭典

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凶犬の眼
日岡秀一

作家 柚月裕子
出版日2018年03月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 HORNET
(2019/09/01 19:53登録)
 柚月裕子の出世作となった「孤狼の血」の続編。
 前作の事案による懲罰人事で、日岡秀一は広島県警呉原東署から僻地の駐在所勤務に左遷された。暴力団抗争に首を突っ込んでいた日々から一転して、村の平穏な生活だったが、そんな時指名手配中のヤクザ・国光寛郎が名を偽って村にやってきた。本来ならすぐに本署に連絡すべきだが、国光は身分を日岡に明かしたうえ、「まだやることが残っているので時間が欲しい、それが済んだら自分の逮捕を日岡の手柄にするから」と言う。 前作で下げた評価を挽回し、手柄を立てて本署への復帰を願う日岡は、「いつでも逮捕できる」と踏んでその申し出を聞き入れ、そのまま国光を泳がせるが……。

 ミステリと言うよりは極道小説。前作もそうだったが、「ヤクザの中にも真の任侠派がいる」というスタンスで、そのヤクザと一警察官との男同士のつながりのようなものが描かれる。当然社会通念上は許されることではないので、昨今の日本社会の潔癖主義に強く同調されている方は好ましく感じないかも。
 筆致の力強さは相変わらずで、読み手を惹きつけ続ける魅力はある。日岡が人質になって茶番劇の立てこもりをする後半あたりからはちょっとダレた感じもあるが、全体としてはこの評価。

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