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ミステリの祭典

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皇帝のいない八月

作家 小林久三
出版日1978年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 クリスティ再読
(2019/08/13 11:28登録)
映画見たんだったな。山本薩夫監督で渡瀬恒彦とか吉永小百合の出てるやつ。70年代の邦画では例外的な、自衛隊のクーデターを取り上げた大がかりなポリティカル・スリラー。山薩だもん(結構ヒイキ)骨太な群像劇に仕上げてあって、一見の価値があるよ。クーデター部隊によるブルートレイン・ジャックにフォーカスされる題材が題材なだけに、映画には自衛隊も国鉄も一切協力なし。セット&ミニチュアで頑張った!原作だとそこまで描いてないけど、映画はホントに誰も幸せにならない辛口エンド。クーデター陰謀を追い続けた三国連太郎の陸将補が口封じにロボトミー受けて廃人化してるのが辛い。
だから映画は原作に結構忠実だけど、かなりいろいろ補完している。原作だと季節も不明で「皇帝のいない八月」の意味は説明されないけど、映画はちゃんと八月に起きるクーデターの作戦名で、映画の中に登場するレコードの曲から取られていた。作曲が佐藤勝の重厚なオケ曲。原作はシンプルにブルートレインさくらに乗り合わせた記者と元恋人、クーデター指導者の三角関係がベースで、それに記者の上司とその友人の大新聞のデスク、裏で鎮圧を指揮する内調室長(映画では高橋悦史)くらいに絞られている。そもそもクーデターという規模の大き過ぎる事件を、列車パニック物に落とし込むのがこの作品のキモのアイデアだから、小説はこれはこれでいいんだろう。映画は客観的だから内閣の動きとか並行して描いた方がずっといい。だから、そうしている。
そんな具合だと映画の方のがどうしても「完全版」みたいなことになるのは仕方がないな。うん、まあ映画を見たまえ。

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