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ミステリの祭典

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罪と祈り

作家 貫井徳郎
出版日2019年09月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 虫暮部
(2022/10/26 11:45登録)
 筆力は有る人なので、行く先の見当が付いた物語でも、緊張感を失わず読み進めることは出来た。

 しかしそれだけに、ネタバレ気味になるが、“今になって何故こんなことが起きたのか” は最重要ポイントである筈。ところが。
 女は、子供の父親の特徴について嘘を吐いた。男は、問い詰められて自分が相手だと嘘を吐いた。共に、心理的にあり得ないと言う程ではないが、必然性が希薄。ここにそんなからっぽな事柄を持ってきたのにはがっかり。彼女が男性二人と関係を持った、と言う暗示じゃないよね? それとも “些細なきっかけが重大な結果につながった” と言う皮肉こそ作者の狙いなのだろうか。

 ところで、アレは傷害致死? 自殺(の可能性を否定出来ないケース)じゃないの?

No.1 7点 HORNET
(2020/06/13 23:35登録)
元警察官の濱仲辰司が、隅田川で死んだ。事故と思われたが、側頭部には殴られた痕が。真面目で正義感溢れる「警察官の見本」であったような辰司が、なぜ?息子の亮輔は、幼馴染みで刑事の賢剛と共にその謎を追う。すると、亮輔と賢剛同様に親友同士であった2人の父の過去には、どうやら知られざる秘密が。しかもそれは昭和の終わりに世間を揺るがした、未解決誘拐事件に深く関わりがあるようだった。
 父親たちの過去には何が?そして辰司はだれに殺されたのか?パンドラの箱を開けるように、2人は真相を解明していく―

 事件が起きた現在と、父親たちの過去とを交互に描いていきながら真相を明らかにしていく構成。未解決誘拐事件の真相はだいたい見当がつき、やはり見当のとおりだったが、その先にさらに辰司殺害の真相解明も控えていたため、最後まで楽しみが持続した。
 登場人物が限られているため大体が推測できてしまうところもあるが、持ち前の筆力で物語そのものに厚みがあるので、読み応えは十分だった。

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