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ミステリの祭典

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星空の16進数
私立探偵・森田みどり

作家 逸木裕
出版日2018年06月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 メルカトル
(2020/06/12 22:32登録)
「私を誘拐したあの人に、もう一度だけ会いたい」それは“色彩”だけを友とする少女の願い。すべての謎がとけたとき―私のいる世界は、こんなにも美しかった。
『BOOK』データベースより。

残念ながらデビュー作『虹を待つ少女』の名曲『ムーンリバ―』のような衝撃や感動は味わえませんでした。
誘拐された過去を持つ少女藍葉のパートと、藍葉に依頼された探偵みどりのパートの両面から描かれます。しかし、藍葉の大方は必要なかったと思います。無理矢理話を膨らませてページを稼いでいるだけにしか思えませんでした。それだけに冗長さはどうしても否定できないですね。
この作者特有の、多角的な視点から物語を紡ぐという美点は今回は見られません。ですから単調になりがちで、登場人物たちにもあまり個性が感じられません。一寸コミュ障気味の主人公藍葉と、私立探偵の資質を十分に持ったみどりの他は、探偵を陰のように支える浅川くらいですかね、それなりに人物が描けているのは。

真相はちょっとだけ意表を突かれましたが、そこに至るまでがあまりに長くて、それだけの為に読まされたような気がしたのは、いささか不本意ではありました。この作者に対する期待は個人的に高いものがありますので、それを考えるとやや期待を裏切られた感じがします。「色」に関する拘りなどは、正直興味を持てませんでしたね。

No.1 6点 虫暮部
(2019/07/23 11:21登録)
 作中の“色彩”に関する繊細な美意識は、与太話とまでは言わないが、文学表現によるデフォルメがあってこそ成立する或る種架空のものであって、興味深いものの限界が見える。一方、共感出来ない登場人物の一人称で描き切った力技には、読んでいて居心地の悪さを感じたが、それはそれでアリだと評価したい。最終的に明かされる諸々にはスッキリしない部分もあり、“2010年代の探偵業事情”みたいな要素が一番面白かった。

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