home

ミステリの祭典

login
ブラック・リスト
ヴィク

作家 サラ・パレツキー
出版日2004年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2019/07/08 22:49登録)
ハメットの名前が何回か出て来る作品です。ただしハードボイルド・ミステリの始祖としてではなく、1950年台前半「赤狩り」によって投獄までされた作家として言及されるのです。
発表されたのは2002年。前年9/11の同時多発テロに対して制定された「愛国者法」の考え方が、そのかつてのマッカーシズムと同じなのではないか、というのが今回の主要テーマで、タイトルも、容疑対象者リストの意味なのです。事件関係者の多くは「赤狩り」の告発者、被告発者両サイドにいた人たちで、その時代の秘められた過去が、現在の殺人事件を引き起こすという展開です。ゴールド・ダガーを受賞したのも、二つの時代を関連付けるテーマ性のゆえでしょう。
今回はヴィクの友人の医者ロティの出番はごくわずかですし、隣人ミスタ・コントレーラスもほとんどヴィクの身を案じるだけの役割(最後には彼の人柄が役に立ちますが)なのが少しもの足らないでしょうか。

1レコード表示中です 書評