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ミステリの祭典

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おしゃべり時計の秘密
ジョニー・フレッチャー&サム・クラッグ

作家 フランク・グルーバー
出版日2019年06月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 7点 人並由真
(2020/01/12 14:12登録)
(ネタバレなし)
 『フランス鍵』『はらぺこ犬』に続いて本シリーズを読むのは三冊目。
 正直『フランス鍵』は大して楽しめなかったんだけれど、『はらぺこ犬』と本作は、これこそ自分が求める往年の海外ミステリ! という感じで涙が出るほど面白かった。
 ギャグコメディの愉しさ、登場人物の魅力、印象的で刺激的なシーンの配列、手数が多い一方で煩雑ではない謎の提示、サスペンスとちょっとしたペーソス、終盤の盛り上がりとラストの意外性……と、これだけ、一冊にあまねく盛り込んだ作者の職人芸的な腕前を感じる。

 ちなみに真犯人は意外であったが、ジョニーが疑問を持ったとする先行する場面での情報。そこはちゃんとさりげなく、読者の方にも手がかり&伏線として書いておいて欲しかったね。
(あれ? と思って読み直したけど、その該当の情報は前もって書かれておらず、犯人を暴いたのちに、ジョニーの口からいきなり出てきた。)
 まあ、そのさりげなく、が難しい(しっかり書くと、読者に、あー、ここが伏線だなと見え見えになってしまう)から、あえてオミットしたのかもしれないけれど。それでもその辺は古今東西のミステリ作家がみんな苦労しているところのハズだから、手を抜かないでほしい。そこだけ残念というか不満で一点減点。
 

No.1 5点 nukkam
(2019/06/24 21:39登録)
(ネタバレなしです) 1941年発表のジョニー・フレッチャー&サム・クラッグシリーズ第5作のユーモア・ハードボイルドです。ちょっと信じられないような状況下で殺人を実行する犯人の度胸には驚愕を通り越して呆れてしまいますが(普通なら時と場所を改めるでしょう)、とにかくこの事件に巻き込まれて容疑者となったジョニーとサムがどたばたを繰り広げながら犯人捜しをする展開が安定の面白さです。もちろんあの手この手で金欠問題を何とかしようとする悪戦苦闘ぶりも読ませどころです。タイトルに使われている時計の秘密だけでなく意外な人間関係が暴露されたりと謎解きもおろそかにせず、ぎりぎりまで正体を披露しない犯人当てのジョニーの推理も結構しっかりしていますが、果たして本格派推理小説好きの読者がフェアな謎解きだと納得できる伏線が張られていたのかは自信ありません(私が気付かず読み落としていた可能性も十分ありますけど)。

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