チベットから来た男 ウェストボロー教授 |
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作家 | クライド・B・クレイスン |
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出版日 | 1997年08月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 5点 | nukkam | |
(2014/08/28 15:54登録) (ネタバレなしです) クライド・B・クレイスン(1903-1987)は米国本格派推理小説の黄金期に活躍した作家の一人で、わずか6年の間に10作のウェストボロー教授シリーズを残しましたが1938年発表の本書はその代表作とされるシリーズ第5作の本格派推理小説です。トリックメーカーとして評価されているようですが、トリックメーカ-として名高いジョン・ディクスン・カーやクレイトン・ロースンが犯人当てを補完するためのトリックであることが多いのに対して本書は犯人の正体については駆け足気味に説明が終わり、密室トリックの解明にクライマックスを持ってきているのがユニークです。結構大掛かりなトリックで苦心の跡がみられますが、感銘するかは読者によってまちまちかもしれません。チベットにまつわる知識が豊富に盛り込まれ、異国情緒と神秘性に溢れているのも特色になっています。ただ雰囲気演出はいいのですが物語としての起伏に乏しく人物描写も上手くないので読みやすくはありませんでした。 |
No.1 | 5点 | 空 | |
(2008/12/04 21:00登録) メインの密室トリックは原理だけなら現代ではおなじみのものですが、それを成立させるための手順は、なかなかうまく企まれています。ただし、実は第1の殺人について普通に考えてみれば、謎は残るにしても、犯人は簡単にわかってしまいます。 小説的には、中途半端すぎる三角関係や幕切れの落ち着きの悪さなど、粗が目立ち、結局、チベット旅行の話の部分が一番おもしろいというのが正直な印象でした。 |