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ミステリの祭典

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三幕の殺人
エルキュール・ポアロ/別題『三幕の悲劇』

作家 アガサ・クリスティー
出版日1951年01月
平均点6.33点
書評数24人

No.4 3点 mini
(2010/03/02 10:38登録)
発売中の早川ミステリマガジン4月号は特大号で、特集は”秘密のアガサ・クリスティー”
なぜ特大号扱いなのかというと、最近クリスティー短編2編の幻の未発表原稿が発見されたというニュースはファンなら御存知のことだろう
早川書房は名前の通りいち早く翻訳権利を取得し雑誌掲載となったわけである
こういうのが世に出ると真っ先に読みたがる読者も居るのだろうが、その作家の代表的な作品は全部読みましたって読者ならまだしも、私のように一部しか読んでない読者には意味が無い
他社だが近刊情報だとクロフツ唯一の未訳長編も出るらしいが、”幻の”なんて宣伝文句に弱いのはどの世界も同じなのかな
私はそういう売らんかな作戦には便乗したくないぞ

そこで同じ便乗するなら負の便乗で、一般的に定評がありながら、個人的に好きじゃない作品を取り上げよう
「三幕の殺人」はクリスティの有名作の中で特に嫌いな作品の1つなのだが、理由は2つある
1つ目はもちろん有名な”動機”の是非
この作品の動機は昔から賛否両論あることで有名だが、私ははっきり言って否定派だ
こんな理由で人を殺しちゃ駄目でしょ
動機の謎なら「鏡は横にひび割れて」の方がずっと納得できる
2つ目の理由がサタースウェイト氏の人物造形が嫌いな事
サタースウェイト氏は短編集「謎のクィン氏」でも主役級の人物で、「謎のクィン氏」は質の高さは私も分かっているが、この人物が嫌いなのであまり好きな短編集ではないのだ
作者は人生の傍観者という役割の人物をよく登場させるが、どうも私には相性が悪いようで
ただ今回サタースウェイト氏を使って、最後は謎を解くにしても途中経過でポアロを探偵役の中心に据えなかったのは、ポアロに早い段階から探偵をさせては謎の仕掛けから言って都合が悪いという事情もあったのかも知れんな

No.3 7点 okutetsu
(2009/07/02 00:23登録)
いかにもクリスティーらしい作品ですね。
充分に及第点を与えられるおもしろさだと思います。
犯罪の動機に納得いかなかったりする人もいるかと思いますが
それもこの作品ならではと言えるので許容範囲でしょう。

No.2 7点
(2009/02/10 20:40登録)
次作『雲をつかむ死』の中でもちょっと言及されている瞬間を利用した毒殺証拠隠滅方法や、第2の事件のネタも悪くないのですが、本書の最大のポイントは第1の事件の動機と、その動機だからこその大胆な計画でしょう。その動機を持つ人物としての犯人設定も、ちゃんと考えられています。ポアロも、この動機に気づいた時には感嘆しているほどですが、一方でこの動機を好きになれない読者がいても、確かにおかしくはないと思えます。個人的には率直に驚けましたが。
ただ、それらが組み合わさって大きな驚きを生み出すところまで行っていないと思いますので、傑作とまでは言えないかな、というところです。『謎のクィン氏』でも活躍するサタスウェイト氏をポアロもので再登場させた意味も、いまいちピンときません。

No.1 7点 こう
(2008/05/20 00:08登録)
 連続殺人ものです。毒殺ものでトリック、また犯行の動機も考えられていてクリスティーの中でも出来が良いと思います。
ただ個人的には一人目の殺人の動機はクリスティーは他でも使っていますが好きではありません。本格の枠の中では十分ありうる動機なのでしょうが実際にはやはりリスクもありどうかな、と思ってしまいます。客観的にいえば8~9点の出来とも思いますが、個人的には少し減点しました。

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