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ミステリの祭典

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絶望系
旧題『絶望系 閉じられた世界』

作家 谷川流
出版日2005年04月
平均点3.00点
書評数2人

No.2 3点 名探偵ジャパン
(2019/03/21 16:13登録)
メルカトルさんの書評を読んで、びっくりしました。
なぜなら、私もつい最近、本書をブックオフで100円で購入したからです!
「敗北を知りたがっている最凶死刑囚」のようなシンクロニシティを感じたため、「積ん読本棚」の「しばらく読まないでいい」の段にしまっていたものを急遽引っ張り出し、予定を繰り上げて読み始めました。

まず最初に言っておきたいのは、こういう作品に「ミステリ」という惹句を付けて売り出すべきではないということです。私が入手した新潮文庫NEX版には、裏表紙にこう書かれています「"封印"された奇書。圧巻の暗黒ミステリ」と。
どういった理由で"封印"されたのか理由は分かりませんが、たぶん、つまらないからなのではないでしょうか。そして、この手の惹句が躍る作品として当然のように(?)ミステリ要素は非常に希薄です。

では、ライトノベルとしては面白いのか? と問われると、私はライトノベルをほとんど読まないので判断できませんが、一言だけ感想を述べさせていただくと、こういったものを読む層が実に好みそうな、「悪人は冷静で賢く、善人は感情的で馬鹿」を地でいくクライマックスはひどいです。本作の初刊行は平成十七年。こういった主題が(オタクたちの間で)もてはやされた時期だったのでしょうか(今もあまり変わってない?)
作者としては、本作は完全な黒歴史なのではないでしょうか。"封印"したままのほうがよかったかもしれません。

No.1 3点 メルカトル
(2019/03/20 22:04登録)
どうにかしてくれ―。夏休み、友人の建御からの電話に、杵築は耳を疑った。曰く「俺の家に、天使と悪魔と死神がいる」と。助けを請われた杵築は、神々を名乗る変人を“追い出す”ため、街で起きている連続猟奇殺人事件を調べるが…。繰り広げられる形而上学的論争。尽きぬ謎。そして、幼馴染の狂気。殺人と悪魔召還は、いったい誰の仕業?
『BOOK』データベースより。

某ブックオフにて目に付いてしまったのが運の尽き。100円だし、Amazonのサイトで「おすすめ」されていたのでまあいいかと思い、購入したのが大失敗でした。以前から気になっていたことは確かであり、自業自得と言うべきですかね。新品でなかったのが救いです。

何より誰も彼もが壊れていて、冒頭こそ何事かと引き込まれましたが、その後は論理展開は無茶苦茶と言うか乱暴だし、時折見せる純文学を気取った文節が鼻に付くわで、最早何を読まされているのか訳が分からなくなりそうでした。
一応、天使、悪魔、死神、幽霊が一挙に出現するのに整合性は保たれ、連続殺人事件との関連性にも不備はありません。が、その思考があまりにも短絡的過ぎて、話に付いて行けなかったのが痛すぎます。
これが著名な作家の著した作品なのかと思うと悲しいです。それを理解できなかった自分にもやるせなさを感じます。またこういうのに限って後々まで記憶に残りそうな気がするのが辛くもあり、切なくもあります。

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