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ミステリの祭典

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寝台急行「銀河」殺人事件
十津川警部シリーズ

作家 西村京太郎
出版日1985年03月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 5点 mediocrity
(2019/06/01 02:53登録)
全7章。
無駄な描写ほとんどなしに話がどんどん進む。それにしても展開の速いこと。「尾行している私立探偵はいったい何者なのだ?」と言った2ページ後にもう名前特定、更に2ページ後に探偵事務所で殺されているのを発見というくだりは、さすがに高速すぎて笑ってしまった。
結構な量の謎を振りまくが、6章を終わった段階ではまだ真相は全くわかっていない。謎解きも超高速、最後は唐突な終わり方。
いかにも量産期に入ってからの作品という感じで、文章も構成もかなり雑に感じた。密室?トリックもアリバイトリックも大したことない。ただ点数付けろと言われたら5点(まぁ楽しめた)になってしまうのがベストセラー作家たる所以か。実際短時間で読めて「まぁ楽しめた」から。

No.1 7点 斎藤警部
(2019/02/19 00:20登録)
常習の交通費チョロマカシで使った寝台急行にて、乗っている筈のない不倫相手の絞殺事件に遭遇した井崎は十津川の旧友。多方面に気まずい第一容疑者となった井崎が釈放されたのは「自分こそ犯人だ」と名乗る警察宛ての郵便が根拠。そこには真犯人しか知りえない情報と、持ちえない物的証拠があった。会社から冷や飯を喰わされ妻には見捨てられ欝々とする井崎の無実を信じ捜査と推理を続ける十津川の奮闘、を後目に目撃者や関係者が次々と殺害され、最後には。。

悪癖アンチクライマクスは今回ありません(その代わり結末に仄かな唐突感が、ま許せる範囲)。 何より本作の真犯隠匿技は、何気にちょっとクリスティ、ああ見えてモンキー。まさか犯人が××以外の人物とは。。そして最後のコロシの犯人も。。てっきり今度こそそいつだと思ったら。。まさか真犯ではあり得ないであろう容疑者(井崎)が何処までも更に怪しい 状況証拠やら上級解釈やらに苛まれ続けるこの、まるで臍の緒で繋がれたかの様な無間緊迫よ! なかなかに込み入った本格推理でありますな!! アリバイ工作は、詰めの一手(本作の場合そこはちっとも重要じゃない)のほんのオマケとして付いてます。 私立探偵の名前が藤沼。アナーキーの人を思い浮かべてしまいました。 それと、あるシーンで眠ってしまったあのお二人に、萌えました。 幕引きの手練れ感、半端ありません。

なお本作、測量ボーイさんが書評しておられる津村秀介「寝台急行銀河の殺意」とは別物です(作者が違うんだから当たり前ですが)。お間違えなきよう。

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