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ミステリの祭典

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犯罪乱歩幻想

作家 三津田信三
出版日2018年09月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 蟷螂の斧
(2021/05/15 17:12登録)
歌野晶午氏の「Dの殺人事件、まことに恐ろしきは」とのオマージュ競演は②③⑤、さて、軍配は?
①屋根裏の同居者 4点 同居者の正体、動機はまあまあ。しかし日めくりカレンダーの謎はそっち系かい
②赤過ぎる部屋 6点 衝動殺人者の告白。部屋に入った時にはどうだったの?との疑問は残る
③G坂の殺人事件 5点 物理的トリックはプロバビリティの犯罪?さてどうなんでしょう
④夢遊病者の手 7点 夢遊病者の告白。その後のどんでん返しは著者らしいテイスト(ホラー系)とのこと。乱歩愛が感じられる作品
⑤魔鏡と旅する男 5点 鏡に映る自分が別の動きをする?この真相はうーんどうなんだろう
以上が乱歩氏へのオマージュ作品
⑥骸骨坊主の話 6点 「リング」へのトリビュート。でも怖くはなかった(笑)
⑦影が来る 5点 ドッペルゲンガー現象。その原因は?

No.1 5点 猫サーカス
(2019/02/05 20:00登録)
「退屈病」に侵された青年が部屋の異変を探る「屋根裏の同居者」、G坂に住む素人作家の「私」が目の前の家で起きた殺人事件を追求する「G坂の殺人事件」、精神分析医が夢遊病者の過去を検証する「夢遊病者の手」、鏡の中の虚像をめぐる「魔境と旅する男」など乱歩関係の短編5作のほかに円谷プロ作品へのトリビュート「影が来る」など2編が収録されている。注目すべきはやはり乱歩関連の作品でしょう。乱歩作品に関する蘊蓄をたっぷりいれながら、十分にひねりを加えて、驚きの結末を提示している。とくに見事なのが、「G坂の殺人事件」と「夢遊病者の手」で、前者も後者も語りが緻密で、最後のどんでん返しも鮮やか。江戸川乱歩との関係を論じながら、三津田作品の複雑な作りを丁寧に解きほぐす解説(谷口基)も必読。

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