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ミステリの祭典

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魔王の足跡
スミス警部シリーズ

作家 ノーマン・ベロウ
出版日2006年01月
平均点6.67点
書評数3人

No.3 8点 nukkam
(2016/09/13 13:20登録)
(ネタバレなしです) 英国のノーマン・ベロウ(1902-没年不詳)は1930年代から1950年代にかけて20作ほどのミステリーを発表しており、不可能犯罪や怪奇趣味に彩られた作品を得意としたそうです。本書は1950年発表の代表作でスミス警部シリーズ第5作にあたる本格派推理小説です。雪の上の謎の足跡という魅力で最後まで退屈させずに引っ張ります。ベロウの文章は難しい方言が散りばめられて読みにくいとのことですが(幸いにも)国書刊行会版は標準語で翻訳されているので大丈夫でした。トリックは結構複雑ですがスミス警部のきめ細かい説明でわかりやすく謎が解かれます。動機が後づけ説明になっているとかの問題点はありますがこれだけ面白いプロットだとそういう欠点もほとんど気にならなかったです。

No.2 6点 mini
(2012/01/10 09:57登録)
* 雪の季節だからね(^_^;) *

雪とミステリーとの関連で言うと、まず発想するのが”雪の足跡”
この作品は”雪の足跡テーマ”を極限まで追求したトリック本格である
実は数年前に読了した時の正直な評価は4点くらいだった
だって物語的魅力に欠ける単なるトリック小説そのものなんだもん
しかし最近この作品を見直しているんだ、何故かってえ~と
そもそも本格で”雪の足跡”って言ったら、雪に閉ざされた館の周囲に点々と続く足跡みたいなイメージでさ、館ものが苦手の私にとって最も嫌いなパターンなんだよな
しかしベロウ「魔王の足跡」は、まず館ものじゃねえし、一応不可能トリック系ではあるが狭い意味での密室ものでもねえし
要するに、”閉塞空間”というのが舞台じゃなくて、もっと広範囲にわたる屋外空間なんだよね
クローズドサークルが嫌いで屋外空間派の私としては、まぁまぁ嫌いではないな
トリックもどのようにして”雪の足跡”は付けられたのか、という一点勝負だ
他の各種ネット書評など見ると、こうした要素が期待した方向性と違うんでがっかりした読者も居たみたいだが、クローズドサークル嫌いな私としては逆に好ましかったんだよね

No.1 6点 kanamori
(2010/06/15 18:58登録)
魔女が縛り首になった樹の伝説とか雪野原途中で消えた足跡など、怪奇趣味と不可能興味溢れるプロットはまさにディクソン・カーを彷彿とさせます。
不可解な事象に対して、色々と推論を重ねていくスタイルをとっているのもいいです。探偵役のスミス警部の印象はいまいち薄いですが、怪奇現象研究家の女性が面白いキャラクターで補っている感じです。
傑作とは言えないかもしれませんが、他の作品もこのような作風ならもっと読んでみたい作家です。

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