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ミステリの祭典

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審判

作家 フランツ・カフカ
出版日1953年03月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 5点 虫暮部
(2021/01/15 12:50登録)
 ボケ担当が一人もいないのに転がり続ける喜劇、を無自覚に書いたような本作は、“意味不明”と言うエンタテインメントであって、展開が整理されていないとか長過ぎるとか言っても無意味なのである。がらくた置き場の笞打ちや画家との対話は面白い。ラストは神話のようだ。そんな読み方をしたものだから、巻末解説なんかについては何を猪口才なと思った。

No.1 8点 弾十六
(2019/01/01 23:35登録)
1927年初版(マックス ブロート編集)、池内訳の白水社版はカフカ新全集による、カフカ自身の手稿1914-1915に基づくもの。白水uブックスで読んでいます。
私はブロート版を読んでいませんが、訳者によると手稿版に結構手を入れて辻褄合わせをしてるみたいです。

理性の力が弱まった夢の中の世界がカフカの真骨頂。「何故?」は問われることが少なく、前後のつながりが細い現象(夢の中はダジャレで繋がることがもありますよね…)がぶつ切りに出現し、それに対処する「私」の意識と行動が全てです。
チェスタトンのほぼ同時代人なんですね。カフカはGKCを読んでいたのでしょうか?

夢にオチが無いように、カフカの話もオチないのが本質です。でもカフカは(当時の小説概念に従って)落としたかったのだと思います。それが出来ないのは自分の未熟さだと。
カフカが現代に生まれていたら苦悩しなかったか、というとそう上手くは行かないんじゃないかな、と感じます。
まー私は日常論理に落っこちないで夢世界にとどまるアクロバットを見物する感じで読んでいます。微妙なバランスが良いですね。

10章+6つの断片。それぞれに一言批評をつけました。
⑴銀行に出勤するシーンのおかしな開放感が秀逸。
⑵結構強引なKさんです。相手のリアクションが薄いのは夢ならでは。
⑶迷う感覚が素晴らしい。約束が中途半端。突然、人々が出てくる感じも素敵。
⑷汚ならしい裁判所のイメージが重くのしかかる。
(2019-1-1記載、以下続く)

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