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ミステリの祭典

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わが懐旧的探偵作家論
山村正夫

作家 評論・エッセイ
出版日1976年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 人並由真
(2019/05/23 04:12登録)
(ネタバレなし)
 戦後の昭和推理小説文壇のど真ん中にいた作者による、先輩や同年代、一部後輩の同業作家たちを語った貴重な述懐・証言集。大半の記事は「幻影城」誌上や元版で読んでいるが、改めて今回は初めて(文庫版で)丸々一冊通読した。他のミステリその他を読む合間合間に読んでいたので、最初に文庫版を手に取ってから完読するまでに、1年以上かかったが。

 作家それぞれの人間的な地の顔を著者目線で語りつつ、一方でそれぞれの作家の代表作ややはり著者目線での印象的な作品にも積極的に言及している記事の作り方がとても楽しい。
 一部、巧妙に、書きにくい話題を避けているところもあるようにも思えるが、昭和の国産ミステリ全域に濃かれ薄かれ関心がある人(評者のような)なら一度は読んでおくべきだろう。
 何より昭和の探偵小説・推理小説の文壇の世界の形成がなんとなく見えてくるような感覚が実に心地よい。

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