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ミステリの祭典

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嫉妬

作家 ボアロー&ナルスジャック
出版日1974年01月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 7点 クリスティ再読
(2023/12/05 10:43登録)
ボア&ナル後期って日本ではあまり話題にならなかったこともあって、評者読んでなかったが....うん、本作「嫉妬」とかね、フランス純文学お得意のガチ心理小説か?と思っていると、実は違うんだ。

一人称小説で、妻の浮気を疑う小説家志望の俳優が、パリ郊外の浮気現場で、その妻の浮気相手を銃撃して殺した。主人公の目撃証言もあったようだが、被害者の同性愛が明らかになったことで、主人公は嫌疑から外れてしまった。誤殺でも目撃証言があれば困った立場に主人公は追い込まれるのだが、主人公が匿名で懸賞に応募した小説が受賞して大ベストセラーになってしまった!名乗り出るにも名乗り出れないジレンマに主人公は落ち込み、不審に思う妻との関係も悪化する。その妻とドライブに出かけた主人公は事故にあう...

軽妙に話が皮肉で思わぬ方向に展開していく。なんというか、心理的というよりも、ずっと客観的な筆致で描写がされていくから「ほんとにボア&ナル?」と思うところもある(苦笑)いやでもボア&ナルらしい心理描写と展開の妙もあって、「軽い」感じで楽しく読める。

プロットの綾に翻弄される。ちょっとした新境地だと思う。
だったら後期の読んでない作品にも改めて興味が湧いてくる。
(空さんご指摘のように、訳はあまり良くないな)

No.1 5点
(2018/09/28 23:13登録)
1970年発表作で、訳者あとがきによれば、フランスでは「ボアロー、ナルスジャックの近来にない傑作」と絶賛されたそうですが、それほどの出来とも思えませんでした。まあ長編では直前の4冊は読んでいないので、比較はできないのですが。
なにより、本作の文章があまり好きになれないというのがあって、これは一人称を通常「ぼく」としているのに時たま意味なく「私」になったりする翻訳のせいも当然あるでしょう。この一人称の不統一には、まさか叙述トリックではないだろうし(フランス語にはそんな区別表現はないはずですから)とまで思ってしまいました。異常なまでの嫉妬深さから殺人を犯す主役セルジュの思い込みぶりにも、最初のうちかなりうんざりでした。
それでも、殺人の後に起こった皮肉な状況には、感心させられます。最終ページで明かされるある人物の行動の動機もなかなか意外でした。

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