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ミステリの祭典

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ロルドの恐怖劇場

作家 アンドレ・ド・ロルド
出版日2016年09月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 ◇・・
(2023/12/02 20:24登録)
二十世紀初頭、パリで人気を博した残酷演劇「グラン・ギニョール」の劇作家が手掛けた、戦慄と狂気と皮肉に満ちたショート・ショート集。
ひとつひとつの分量が短いぶん、残虐描写などはあっさりしたものだが、真正面から脳天を一撃されるような即物的ショックを伴う結末や、作中人物に対する容赦のない扱いは今読んでも十分に生々しい。
当時先端の医学が恐怖演出の道具立てとして活用されている点は、戦前の探偵小説を想起させる。どうして人は暗い話、残酷な話、厭な話からもカタルシスを見出すのか、ということも改めて考えたくなる一冊。

No.1 6点 小原庄助
(2018/07/24 09:24登録)
20世紀初頭、パリの小さな劇場で夜な夜な、殺人や復讐をめぐる陰惨な芝居が上演されていた。劇場の名はグラン・ギニョル座。そこにたくさんの恐ろしい戯曲を提供した当時の人気作家だったにもかかわらず、これまで日本ではほとんど作品に接することが出来なかったのが、アンドレ・ド・ロルドなのである。
クラシカルなタイプの恐怖小説好きにとっては乗ぜんの的。ロルドの目がとらえているのは、闇の奥に潜む非現実的な何かではなく、人間の心の内奥なのである。
人はなぜ恐れるのか。人は何を恐れるのか。人はどうやって狂気の道を突き進んでいってしまうのか。豪胆を誇る男が蝋人形館で過ごす夜。天才的な外科医にまつわる罪と罰。愛する娘を救ったつもりの父親を襲う絶望。父母を殺された男が果たす復讐。思い込みが育てる狂気。実直で誠実な夫が、妻への遺言で明かす驚愕の真実。死んだ妻の来訪を夜ごと待つ夫。
この短編集の中には、リアルで身近で普遍的な恐怖が詰まっている。

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