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ミステリの祭典

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新鮮 THE どんでん返し

作家 アンソロジー(出版社編)
出版日2017年12月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 まさむね
(2020/01/19 23:47登録)
 新進気鋭の作家による短編集。総じて楽しめましたね。
1 密室竜宮城(青柳碧人)
 全体のトリックは措くとしても、お伽噺の世界の変転のさせ方が楽しく、昨年話題となった作者の単行本「むかしむかしあるところに、死体がありました。」も読んでみようかな、という気にさせられました。(本短編も収録されているようですし。)
2 居場所(天祢涼)
 社会派短編と言ってよいかも。ラストの余韻がなかなか沁みます。
3 事件をめぐる三つの対話(大山誠一郎)
 会話のみで構成された作品。そういった構成例は多々ありますが、最終的にはその構成自体にニヤリとさせられます。
4 夜半のちぎり(岡崎琢磨)
 ちょっと予想しやすいかな。このアンソロジーの中では目立たない。
5 筋肉事件/四人目の(似鳥鶏)
 類似例があるとはいえ、丹念に作り込まれていることは間違いなく、二度読み率も高いだろなぁと思います。
6 使い勝手のいい女(水生大海 )
 サスペンス風。簡単に揺さぶられ、単純に引っかかりました。

No.1 6点 メルカトル
(2018/07/06 22:42登録)
気鋭による「どんでん返し」がウリの短編集。

『密室竜宮城』 青柳碧人  
お伽噺の『浦島太郎』そのままの設定。助けた亀に連れられて竜宮城に来てみれば、謎の密室殺人事件が。

『居場所』 天祢涼  
前科持ちの八木は、過失致死で殺してしまった少女を想起させる女子高生マナを執拗に追い回すが、それを知った若者にある取引を持ち込まれる。

『事件をめぐる三つの対話』 大山誠一郎  
一見普通の殺人事件だが、なぜ死体を移動させたかが焦点に。説明文を排除し、全編会話文で構成されたホワイダニット。

『夜半のちぎり』 岡崎琢磨
奇妙な成り行きで遭遇した、新婚旅行中の二組のカップル。その中の一人茜が殺害される。入り組んだ人間関係が悲惨なラストを呼ぶ。

『筋肉事件/四人目の』 似鳥鶏
これは作品の性質上、内容には触れないほうが無難と判断し、割愛します。

『使い勝手のいい女』 水生大海
私七尾葉月は使い勝手のいい女。昔の男に金を用立てるように泣きつかれ、抱き着いてきた。それを過剰防衛と知りながら凶器を握り・・・。

ミステリ的に最も優れていると思われるのは『事件をめぐる三つの対話』で、前例はあるものの、どんでん返しと言うに最も相応しい作品でしょう。
構成が凝っている『筋肉事件/四人目の』は、これまた過去に似たトリックが存在していますが、二度読み必死の力作かと思います。
他はどんでん返しというよりごく普通のミステリです。若干のエッジや捻りを効かせた程度で、中には拍子抜けなものも混じっており、上記二作以外はこれと言って見るべきものはありません。

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