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ミステリの祭典

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或る家の秘密
ジェファーソン・テイト家系調査士

作家 スティーヴ・ロビンソン
出版日2018年02月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 斎藤警部
(2021/11/10 04:57登録)
アトランティック・クロッシング。。本作の終盤に差し掛かった頃、ロッド・スチュアートの同名アルバムがFMから流れて来た偶然には感動した。それも一枚丸ごとの大盤振る舞い!

主人公はやり手の「家系調査士」JTことジェファーソン・テイト。全米一を自認するが、ここへ来て若手ライヴァルの追い上げが激しい。今回の顧客はイングランド系アメリカ人の富豪。本人直系の先祖は難なく割れたが、その兄と妹で独立戦争末期にアメリカからイングランドへ渡った一族とその後裔にあまりにも不審な黒い霧を発見したJTは強烈な職業興味に押され、苦手な飛行機で英国に渡り、調査の周辺で起こる連続不審死に遭遇し、自分の命まで狙われ始める。。

重みのある渋い作品を想像していたら意外と軽くてヤングフィーリングなお話でしたが、終始エキサイティングで文句無く面白かったです。活劇シーンも、謎ガジェットの存在感も充実。魅力的キャラクターズも色鮮やかに書き分けられました。過去の大きな謎と現在の中くらいの謎がカットバックで並走するスリルはなかなかのもの。過去の真相の或る意外性の部分、所謂人間関係トリックのシラッとバッサリ応用篇みたいな所は、最後まで堂々騙され一片の悔い無し!

現在の真犯人は確かに意外ですが、その立ち位置であまり驚けない、意外性のコスパは確かに低い、でもこのストーリーのパースペクティヴでは充分満足。大きな分岐点でもある、或るシーンで主人公、主人公の仕事のライバル共々そこまで軽々しく騙されるわけないだろう、って唐突にリアリティがグシャグシャッとなっちゃう所、読者目線であまりに不審過ぎて、ひょっとしてハイパーどんでん返しの巨大伏線かと疑っちまいましたよ。そこんとこの悪い違和感を除けば相当に優秀なエンタメ作でしたね。。でも更に敢えて言えば、過去の犯人というか悪人の人間ドラマがページ数的にあっさり通過され過ぎの感はある。もっとじっくりじっとり掘り下げてくれてもエンタメの速度が落ちはしないと思うが。。とは言えその部分を含んだ⚫️⚫️の悲劇という大テーマ的な部分はやはり熱く、派手めなエンタテインメントたる本作に深いインパクトの加勢を与えてはいる。 プロローグの本当の哀しみは、過去の真相が分かってこそ、考え落ち的にずっしり来るわけだ。。

第一級の家系調査士である主人公が自らの血縁両親を捜しているという設定も旨い。シリーズ後続作でいつかその謎が解かれるのだろうか。 ノンケ男女同士の熱い友情と軽い恋愛が並列で描かれるのも良いですね。恋愛の方は友情に較べるとかなりどうでもいい扱いですが、こちらも後続作での発展があるのか、寅さんみたいに一作毎の淡い行きずりが続くのか、、まどっちでもいい。 そうそう主人公がそこそこおデブちゃんの筈なんだが、殆どそういう感じ出てない。キャラクター上の必然性も特に無い気がするんだが。 飛行機恐怖症の方は、アトランティック・クロッシングの味付けに丁度良かったかも知れない。

No.1 7点 YMY
(2018/05/19 10:52登録)
地味に思わせておいて読ませる一冊。
テイトは依頼人の家系図を作る家計調査士。ある富豪の依頼で、一族の記録の奇妙な空白を埋めようとイギリスに渡った彼は、不穏な妨害に遭遇する。今なお、何者かが過去を隠そうとしている。
調査を通じて判断する過去と、それが招いた現代の事件を通じて、一族の歴史を立体的に浮かび上がらせており、謎解きとしても冒険活劇としても楽しめる作品。

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