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ミステリの祭典

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雪の夜は小さなホテルで謎解きを

作家 ケイト・ミルフォード
出版日2017年11月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 7点 ◇・・
(2023/09/17 19:17登録)
雪で閉ざされた小さなホテルに集まった怪しい人たちと謎に満ちた三日間の物語。
十二歳のマクロイは、港の上にある丘に建つホテルで両親とともに暮らしていた。だが、冬休みに入ったその日、一人の怪しい男がやってきた。通常、宿泊客は誰も来ない時期のため、自分の望むとおりに家族と過ごすつもりでいたマクロイは戸惑った。だが、そのあと続けて四人の客が現れたことで、むしろ好奇心が勝っていく。そんなときに発見したのは、誰かが落とした古い海図だった。マクロイはホテルに隠された秘密を暴き、謎を解き明かしていく。
盗難事件をはじめ、奇妙な出来事が立て続けに起こることで、マクロイは手伝いに来た料理人の娘メディを相棒として謎の解明に取り組んでいく。この時彼は「ネグレ」という別人格になる。ゲームのキャラクターになり切ることで名探偵ぶりを発揮する。この設定が秀逸。さらに作中、ある民話集をヒントに、それぞれの客に話をしてもらう趣向が展開する。物語内物語が効果的に導入されているため、より奥行きが深くなり秘密の明かされる過程が面白くなっている。バラバラの点が繋がり、思わぬ図が浮かび上がるのだ。
なにより、これは伝統的なクリスマス・ストーリーである。家族と静かに過ごすはずの休日が台無しとなり落胆する導入部から、ディケンズやクリスティーらの名作に通じる数々の設定まで、愉しさに溢れている。

No.1 5点 nukkam
(2018/05/11 09:05登録)
(ネタバレなしです) 米国の女性作家ケイト・ミルフォードが2014年に発表した本書は創元推理文庫版の巻末解説で紹介されているように色々な要素を詰め込んでいますが、個人的には冒険小説とファンタジー小説の要素が強いように思います。アメリカ探偵作家クラブ賞のジュブナイル部門で最優秀賞を獲得したそうですが、雰囲気はライトながらどうもごちゃごちゃして読みにくかったです。主人公のマイロとメディがロールプレイイングゲームのキャラクター(ネグレとサイリン)を演じるのですが、4つの名前が入り乱れるのは無用な混乱を招いただけに感じました。ホテルの見取り図も欲しかったですね。ミステリーとしては小さな謎を小出しにされていて焦点が定めにくく、11章の終わりのマイロの推理説明はまずまず読ませますが12章での驚愕の事実の前に謎解き興味は吹っ飛びます。日本語タイトルから謎解きにあまり期待をかけるとがっかりするかもしれません(英語原題は「Greenglass House」です)。

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