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ミステリの祭典

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誰も死なないミステリーを君に

作家 井上悠宇
出版日2018年02月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 メルカトル
(2018/05/09 22:47登録)
以前書評した『死を見る僕と、明日死ぬ君の事件録』(登録時にまさかのミスを犯し『死を見る』が抜けていました、さっき気付きました、すみません)と設定が似通っていますが、こちらの方がより本格に近いです。タイトル通りだと誰も死なないわけで、果たしてミステリとして成立するのかとの疑念を吹き飛ばして、体裁は予想以上に整っていました。

何故元文芸部の四人に『死線』が現れ、孤島に渡っても消えないのか、という謎自体はほぼ予想が付いてしまいます。これはおそらく誰しもが想像し得ることだと思いますね。ですから、謎の焦点は事の発端となった最初の転落死にあります。この事件は事故だったのか、殺人だったのか。そこから派生する四人の「容疑者」のそれぞれが抱える事情を探り、事件の全容が明かされた時、驚愕の事実が!とはなりません。
謎解きはあっさりと片付けられ、驚くような真相が待っていたりもしません。ですが、一応は筋が通った解決を見ます。あっけないですが、それが事実なら受け入れるしかありません。まあなるほどとは思いますが、それだけですね。

しかし、何がどうとは言えませんが、青春ミステリとしてどこか捨てがたいところがある小説だと思います。それはおそらく、余分と思われるような描写が意外に印象に残っていたり、登場人物同士の何気ないやり取りであったり、主人公の過去のエピソードだったり、なのでしょうかねえ。

No.1 7点 虫暮部
(2018/04/20 10:20登録)
 これは拾い物。深読みするなら、特定の人物にしか認識出来ない事項を基盤にしてミステリを書く実験。伏線がしゅるしゅると小気味良く回収される様は爽快だった。(元)文芸部員の4人が意外に好感度高し。
 ところで佐藤くんのフルネームって作中に出て来たっけ。もしや読者に対するクイズ?

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