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ミステリの祭典

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死霊鉱山

作家 草野唯雄
出版日1985年09月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 蟷螂の斧
(2018/04/02 09:23登録)
男女5人が雪山で遭難。密室で一人一人殺されてゆく。出だしは絶好調です。性技の講義まであります(笑)。途中で一休み(伏線の回収事件等)。後半、生き残った二人がお互い犯人だと罵り合うところが楽しめます。しかし、カー氏のある有名作品を思い起こさせる点や、密室の解明に多々疑問点が残っておりこの評価とします。

No.1 6点 人並由真
(2018/03/25 05:49登録)
(ネタバレなし)
 都内の企業・渋谷商事に勤務する29歳のスポーツマン、遠田弘志は、恋人で会社の専務の娘・25歳の月森志津をふくむ同僚の4人の若いOLたちとともに、愛媛県の西赤根山に冬山登山に向かった。だが猛烈な吹雪に見舞われた一同は、土地勘のある最若年のOL、22歳の小武昭子の提案で、近隣の廃坑になった銅採掘場の鉱山事務所に逃げ込む。実はそこは、幕末に待遇に不満を抱いた採掘人足が暴動を起こし、厳しい処断の末に惨殺された鉱山だった。鉱山はその後も現在まで人足たちの呪いがかかっているという。そんな中、怪異な殺人が…。
 
「書下ろし長編恐怖推理小説」の肩書きで、文庫オリジナルで刊行された一冊。物語はズバリ、怪奇色濃厚な設定下のクローズドサークルものとして展開。途中からは下山しない若者たちを案じる、家族や地元関係者・警察側などの描写も交錯してくる。
 雪に閉ざされた狭い空間が準密室的な殺人現場を構築。そこでの最初の殺人を発端に、この世の者ならぬ殺人者? の手によるかもしれぬ惨劇が続くのは王道。さらに男ひとりに若い娘4人というエロゲかラノベのハーレム的設定のなかで、前半から濃厚なセックス描写も見せてくる、すこぶる敷居の低い作品なのだが…。

 …いや数時間で読み終えたが、読了後、レトリックでなく現実に本当に30分~1時間くらい、笑いが止まらなかった。どこがどうオモシロいかここで語ってしまうとすぐネタバレになる(それも二重の意味で)ので絶対に言えないが、作者はこれを分かった上で洒落で書いたんじゃ絶対にないだろうなあ。当人としてはかなりマジメに、これはこれで一冊の完成された謎解きミステリ&エンターテインメントとして著したんだろうなあ。だとしたらあまりにも天然。ひょっとしたら最後の方は、本人も気づかない内に、足でペンを握って書いていたのかもしれないなあ。そう思いたくなるほど、トンデモな作品。この十数年の間に自分が読んだバカミスの頂点のひとつかもしれん。

 評点は1~2点でも、あるいはとにもかくにも比類なく爆笑させられたということで8~9点でもいいのだが、プラスマイナスしてこの点数。
 世の中にはいろんなミステリがあるもんだ。楽しくってしょうが無い(笑)。

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