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ミステリの祭典

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たぶん、出会わなければよかった 噓つきな君に
原案:栗俣力也

作家 佐藤青南
出版日2017年12月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 メルカトル
(2018/03/20 22:19登録)
よくありがちな三角関係にまつわる恋慕や嫉妬などが渦巻く恋愛模様を描いたミステリなのかと想像していましたが、思った以上にブラックな味わいが強い作品だったので、少なからず驚きました。一筋縄ではいかない、女子受けしない物語でしょうかねえ。その意味で、純粋に恋愛小説を求めている向きには敬遠されるかもしれないです。

第二章の幕開けとともに、これはやられたなと素直に思いました。いえ、よくあるとは言いませんが、ミステリ小説にはたまに見られる手法ではあります。が、この手の小説でこれをやられると、やはり意表を突かれますね。
男子一人、女子二人の三者三様の心情が、各章ごとに詳らかに描かれます。その心の揺れ具合は読んでいてかなりのリアリティを感じます。中でもある人物に感情移入するように仕向けられていますが、突如豹変するのにはさすがに付いていけないと感じたのは確かです。しかし、ストーリー的には「そうするしかなかった」ということなのだと思います。でなければ、この純愛小説は成立しないからやむを得なかったと。

そう、本作は途中までは二人の女性の間で揺れる主人公?の優柔不断な心持ちを描き、第二章で景色が一変し、最終的にはミステリの皮を被った純愛小説の真の姿を現します。
私は第三章の終盤とエピローグで切なくなってしまったことを、ここに告白します。総合的には恋愛ミステリとしても、恋愛小説としてもなかなかの佳作ではないかと思います。

No.1 6点 人並由真
(2018/03/19 18:26登録)
 最後まで読み終えて、良かった、とは思う。ただし底が割れてからの、ある重要キャラクターに抱く質感が終盤であまりにも様変わりして。

 うーん、これは何というか、妙な例えだが、たとえば文芸ドラマ性の強い18禁恋愛ゲームをプレイしていると、それまで地味で不器用な若者だった主人公が、最後の最後でいきなり種馬的セックスをやり出して、受け手が置いていかれる違和感…あれに近いものがある。いやこの作品の変質のベクトルは、まったく別の方向であり成分なのだが。
 もし、この本を読んで、自分は<あの登場人物>に最後まで、変わらずに感情移入をし続けましたよという方がいたら、イヤミや煽りでなく、その心情をうかがってみたいもので。

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