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ミステリの祭典

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Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件
桜木静流シリーズ

作家 矢樹純
出版日2012年08月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 虫暮部
(2018/05/29 10:51登録)
 前半はスリリングでとても面白かった。後半、謎が交錯し過ぎて混乱したので、もう少し上手く整理してくれたらもっと驚けたかも。
 殺人事件に対して登場人物が皆やけに冷静だな~、しかし紋切り型にヒステリーを起こしたり怖がったりするだけがリアルな対応ではなく、これはこれでアリかな~、とも思った。

No.1 5点 メルカトル
(2018/02/25 22:04登録)
おぞましい因習が残る青森県P集落。大学教授の三崎忍とともに「私」は二十年ぶりにその集落に帰京することになった。道中新幹線の中で同じ目的地へ向かう心理カウンセラーを名乗る桜木静流と遭遇するが、彼らを待ち受けていたのは奇怪な連続殺人事件だった。

道中が長く、目的地にすらなかなか到着しません。何かこう奥歯にものが挟まったような表現が多く、結構イライラさせられます。やっと殺人事件が起こったと思ったら、ここで最初の衝撃が襲います。それまでのイライラが解消されますが、ネタバレになる恐れがあるのでこれ以上は突っ込みません。
人間関係がかなり複雑なので頭の中で整理するのにやや時間がかかるかもしれません。それにしても、よくこれだけややこしい物語を考え付くものだと感心させられはしますが、文体のせいかプロットのせいなのか、スッキリとした明快さには欠ける気がします。
窃視症の名探偵桜木はあまり颯爽としていない分、ややもするとただの変態にすら思われます。その探偵の解く謎は一応整合性という点で納得のいくものですが、動機は弱く、複雑さに紛れて一刀両断するが如き鋭さが足らないと思います。その意味でのカタルシスは生まれませんね。

本作は殺人事件と並行してあるテーマが有機的に結びついています、むしろそちらのほうに重点が置かれていると言っても過言ではありません。だからこそ余計に作品全体を重苦しい雰囲気にしてしまっているのが、一つの瑕疵であるとも考えられます。

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