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ミステリの祭典

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七つの欺瞞

作家 ウィリアム・P・マッギヴァーン
出版日1963年01月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 4点 八二一
(2025/10/03 21:35登録)
スペインを背景に米英独仏その他各国の流れ者が、生存あがきと闘いを繰り広げるこのドラマは、すでに出尽くした陳腐な風俗ものに終始している。

No.1 5点 クリスティ再読
(2018/02/10 23:57登録)
マッギヴァーンって「明日に賭ける」のあと、一般小説への転向を表明するわけだが、すぐ次の「けものの街」は地元住民と抗争することになってしまうアメリカ中産階級の罪を描いて「微妙にミステリ」くらいなものだったのだけども、本作というと...アンブラー風の謀略の絡んだ冒険小説、という感じのもので、別に純文学とかそういうものではない。
スペインのリゾートでダラダラ暮らすアメリカ人の主人公に、同じリゾートで暮らす元ナチと噂されるドイツ人実業家からビジネスの誘いが来た。それに何となく応じてしまったのが運の尽きで、元パイロットの主人公は殺人容疑がかかるのと同時に、銃で脅されて貨物機のハイジャックを強制されるハメに陥った!
この貨物機に積載されたドイツ人の悪事の証拠を奪うのが目的なんだが、御用済の主人公と、イギリス人の暴力担当とその愛人の病的な嘘つき女、それに主人公の身を案じて一行にもぐりこんだヒロインらは、当然ドイツ人によって消される塩梅なのだが、辛くも生き残る。しかしサハラ砂漠の真ん中に放り出させて、どうやって戻るのか、戻っても殺人容疑をどうするのか?といったあたりの興味で引っ張るわけで、そりゃ冒険小説、だよ。
まあ筆力のあるマッギヴァーンだから、そつなく書けてはいる。最初主人公を誘惑する嘘つき女とか、ドイツ人に精神的に奴隷化されているヒロインとか、結構キャラに工夫がある...けど、小説としては、ちょっと萌えどころがよくわからないや。なんでこんならしくない小説書いたんだろう?

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