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ミステリの祭典

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双生児

作家 折原一
出版日2017年10月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 6点 E-BANKER
(2022/08/06 11:51登録)
今さら「双子トリック」メインのミステリー?
タイトルだけからすると、そう思ってしまうのだけど、そこは折原一だから・・・。きっと作者らしい仕掛けがあるに違いない(多分)
2017年の発表。

~安奈は自分にそっくりな女性を街で見かけた。それが奇怪な出来事の始まりだった。後日、探し人のチラシが届き、そこには安奈と瓜二つの顔が描かれていた。掲載の電話番号にかけるとつながったのは・・・。さつきは養護施設で育ち、謎の援助者「足長仮面」のお陰で今まで暮らしてきた。突如、施設に不穏なチラシが届く。そこにはさつきと瓜二つの女性の顔が描かれていて・・・。<双生児ダーク・サスペンス>~

これはかなりな「竜頭蛇尾」ではないか?
散々&長々と読者を引っ張ってきて、メイントリックが「双子」ではなく「〇〇子」だなんて・・・。読者もさすがに気付いていたけど、まさかその程度のオチじゃないよね、って思ってた。
でも、このエピローグ。もはや、作者も引っ張りすぎてギブアップしてしまったような投げやり感。それはいただけない気がした。

途中までは良かったのだ。いかにも折原って感じで、昔の調子よかった頃の作品の風合いに似ていて、「一体どんな仕掛けなんだろう?」って期待させてた。
折原の面白い作品っていうのは、どこか捻じ曲がった登場人物たちが、途中からもはや作者の手を離れたかのように縦横無尽に大暴れしているような感覚。読者にとっては「もう、どうなってるの?」とでも叫びたくなるような感じ、とでも表現すべきか。それでも、ラストには一定のオチや収束が図られ、ミステリーとしての体裁を保っている。
こんな感じなんだけど、本作はうーん。最初に触れたとおり、竜頭蛇尾だ。

「双子トリック」を持ち出すっていうのもなぁー。当然、先例を逆手に取るという方向性しかないのだけど、これでは逆手に取り切れてないと思う。
ただ、プロットとしては決して悪くはなかったのだ(と信じたい)。こういう手の作品に慣れてない読者なら、まずまず引き込める程度の面白さはある。
ただ、如何せん、折原作品を読み込んできた一ファンとしては、どうしても高評価するわけにはいかない。登場人物と同様、こちらの感覚も捻じ曲がりすぎているのかもしれない。

No.1 4点 蟷螂の斧
(2018/01/16 21:16登録)
裏表紙より~『安奈は、自分にそっくりな女性を町で見かけた。それが奇怪な出来事の始まりだった。後日、探し人のチラシが届き、そこには安奈と瓜二つの顔が描かれていた。掲載の電話番号にかけるとつながったのは…さつきは養護施設で育ち、謎の援助者“足長仮面”のおかげで今まで暮らしてきた。突如、施設に不穏なチラシが届く。そこにはさつきと瓜二つの女性の願が描かれていて…“双生児ダーク・サスペンス”。』~
短い章で、人物の視点が変わり、複数の話が進行し、過去と現在が行き来する。よって読者はいつも通りに混乱するのである(苦笑)。トリックは二つ。メイントリックは、著者としては初めて?と思うが、う~ん、どうなのかなといったレベル。登場人物の一人が二重人格らしい設定なのだが、効果的ではなかった。残念。

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