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ミステリの祭典

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水上のパッサカリア
大道寺勉

作家 海野碧
出版日2007年03月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 5点 猫サーカス
(2020/11/13 18:11登録)
大道寺勉は、高原の湖畔で三年ほど一緒に過ごした菜津を半年前に交通事故で失い、今は飼い犬とともに暮らしていた。ところがある日、勉の前に昔の仲間が現れた。しかも菜津の死は、単なる事故ではないというのだ。自動車整備士の主人公には、何か訳ありの過去があるらしい。そんな秘密がいくつも隠されたまま、話は進行していく。始末屋グループの登場やその背景など、いささか乱暴な設定を盛り込んだり、謎と意外性のための構成をとったりしながらも、それが陳腐な形に終わっていない。興奮するような活劇や劇的なサスペンスにやや乏しいうらみはあるが、湖畔の生活や女性と犬についての回想などが実に精緻に描かれているため、知らず知らずのうちに物語に引き込まれてしまう。

No.1 8点 虫暮部
(2017/11/28 14:02登録)
 的確な読点で矢鱈と長いセンテンスを妙にリズミカルに読ませる非エンタテインメントな文体は個人的にとてもツボ。それが語り手のキャラクターやストーリーと合致して、良い意味での違和感を生み出した。ハードボイルドのパスティーシュのつもりが、レヴェルがあまりに高いので本家の高みに届いちゃった、と言う感じ。
 但し、ネタバレになるが、いくら狐と狸の化かし合い的な世界でも、某作戦が丸ごと虚偽という内幕は、私は好きではない。そこまで仕込んでも割に合わないんじゃないの?そこが惜しい。

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