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ミステリの祭典

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素性を明かさぬ死
アーノルド警部

作家 マイルズ・バートン
出版日2017年11月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 nukkam
(2019/01/29 22:12登録)
(ネタバレなしです) 犯罪研究家のデズモンド・メリオンとアーノルド警部のコンビが活躍するシリーズを中心に63作もの長編を残した英国作家のマイルズ・バートンの正体がジョン・ロード(1884-1964)であることが判明したのは作者の死後だったそうです。ロード名義でも70作以上の長編があるのですから大変な多作家です。1939年発表の本書はシリーズ第19作の本格派推理小説ですが、異色なのはメリオンは登場せずアーノルド単独で事件を解決しています(第7章でメリオンが流感でダウンしていることが説明されます)。全61作のシリーズでアーノルド単独作品が4作、メリオン単独作品が1作あるようです。異色作にもかかわらず本書がシリーズ代表作として高く評価されているのはミスディレクションの巧妙さが光るからではないでしょうか。密室の怪死事件の謎解きはトリックメーカーとして知られるこの作者らしいですが、殺人トリックが明かされた後のどんでん返しこそが本書の白眉でしょう。個人的にはロード名義の「見えない凶器」(1938年)に匹敵する作品だと思います。その代わり「見えない凶器」がお気に召さない読者には本書も勧めにくいのですけど。

No.1 7点 人並由真
(2018/03/19 16:09登録)
 作者は、ジョン・ロードの別名義。
 それで内容はジョン・ロードの昨年の新刊(商業出版としての)『代診医の死』同様、脇目も振らず徹頭徹尾、殺人事件とその捜査に本編の叙述が費やされるその潔さ。ああ、この直球のパズラーぶりがたまらない。
 トリックのわかりやすさ、明快なメカニズムは、1960年代までに日本に紹介されていたら、藤原宰太郎とかのミステリクイズ本に必ず引用されているんじゃないかという感じだが、そういう面白さを久々に十全に新刊で味わった。その意味でこれは○(マル)。
 バートンの正編シリーズの方も紹介してください。

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