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ミステリの祭典

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透明な同伴者

作家 鮎川哲也
出版日1988年04月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 5点 人並由真
(2020/12/14 14:28登録)
(ネタバレなし)
 1988年に刊行の集英社文庫。
 ブックオフの100円棚で購入。
 就寝前にベッドでもうちょっとミステリを読みたいときや、病院の待合室でのお供などに重宝した、ノンシリーズの倒叙謎解き短編集。

・以下、簡単に全6編の感想&メモ書き

「透明な同伴者」
……主人公(殺人者)が女流推理作家という設定のみ興味を惹く話。結末はなんというか……本当にフツー。

「写楽が見ていた」
……読んだ直後はちょっと面白いと思ったような気もしたが、この本を最後まで読み終えるころには、どんな話でトリックでオチだったか忘れてたいた。実はそれだけ地味な内容だったということか。

「笑う鴉」
……被害者の女流作家のキャラクターがな~(笑)。ネタは子供向きのトリッククイズ本レベル。伏線も張り方が難しかったかもしれないが、もうちょっとなんとかならなかったかと思う。

「首」
……主人公のややこしい発想は、ちょっと楽しかった。『恐怖劇場アンバランス』みたいな系列の一時間枠番組のなかでのミステリ路線として映像化してほしいかも。

「パットはシャム猫の名」
……殺人のために(中略)。腹の立つ犯人だな。その点を抜きにすればアホなトリックは微笑ましいかも。

「あて逃げ」
……編集部から頼まれた規定の原稿の枚数に尺が合わなくて、話を足しましたという感じ。後半のキーパーソンの行状に無理がありすぎだよね?

 文句もつけたけど、トータルとしては、この手の作品が久々だったこともあってそんなに悪い印象はない。巻末の山前さんの書誌情報と鮎川作品への研究考察はさすが、という感じ。

No.1 4点 斎藤警部
(2017/11/08 00:53登録)
透明な同伴者 /写楽が見ていた /笑う鴉 /首 /パットはシャム猫の名 /あて逃げ
(集英社文庫)

軽い軽い、なかなかに弱っちィ倒叙ミステリ短篇集。四十年代後半モノ中心。自分は鮎川さんの文章世界が好きだから読めるけど、人にはとても薦められない。最後の「あて逃げ」が物語としてちょっと面白いくらい、でもミステリ興味は薄い薄い。「写楽」の指紋や「パット」の遺書エピソードあたり、もう二捻りの余地は充分にあるでしょう、って思うんだけど。なんでそこでチャンチャンで終らせちゃうの、ズッコケるよ~。「あて逃げ」だってこんだけ面白いシチュエーションなんだから更に磨きを掛けりゃ相当の傑作に化けられたろうに。。んで言及しなかった残りの三作はどう捻っても叩いてもどうしようも無さそうなポンコツ共。 ま、こんな鮎川さんも嫌いじゃないさ。

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