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ミステリの祭典

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暗闇の蝶

作家 マーティン・ブース
出版日2011年01月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 八二一
(2019/11/05 21:02登録)
回想録風の神学的田園スリラー。大きなストーリー展開はないが、皮肉な結末と主人公の生き方と語り口が魅力的。

No.1 6点 小原庄助
(2017/10/27 10:52登録)
この作品は派手な仕掛けは一つもない。しかし読み終わったときに静かに心に染み入ってくる。
蝶を描く画家だというふれこみの男は、地元の人々と穏やかに交流しながら、ワインと美食を楽しみ、静かに暮らしている。ただし誰に対しても一定の距離を置き、決して本当の自分をさらけだすことはない。
一人称で語られる物語によって、少しづつ男の過去が浮かび上がり、やがて過去が影のように男につきまといはじめる。現在の穏やかな暮らしを愛しはじめていた男にとって、それはつらい選択を意味した。
かすかに諦念の漂う語り口と、芸術、文学、美食、ワインと多岐にわたる話題に魅了された。美しく、そして切ない小説である。

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