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ミステリの祭典

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探偵工女 富岡製糸場の密室

作家 翔田寛
出版日2014年08月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 たかだい
(2024/12/14 08:52登録)
かの富岡製糸場を舞台としたミステリーという一風変わった作品
新政府への移り変わりや、それに伴う反乱や動乱といった激動かつ不安定な世相、さらに明治の当時には色濃かったと思われる偏見や思想が如実に描かれていて舞台背景はばっちり描けている印象
そんな時代背景の元、1人の工女が密室の状況で死亡しており、さらにもう1人の工女が姿を消す
密室の謎と、消えた工女という2つの謎に、さらに輪を掛けて大きな陰謀の気配が終始漂い、激動のラストへ向けて収束していく話の壮大さも結構好意的に受け止められた
周囲をよく観察し、見聞きした情報を基に物事を鋭く淡々と推理していく本作の探偵役「勇」のキャラも、こういったミステリー小説の探偵としてはあまり見かけないタイプな気がして興味深かったです

No.1 5点 猫サーカス
(2017/10/23 19:22登録)
世界文化遺産に登録された創業まもない明治6年の富岡製糸場を舞台にしている。糸繰りの工程や工女の生活などが、観光ガイドとして使えるほどリアルに描かれているのも、作品の魅力となっている。皇太后と皇后の訪問を目前にした富岡製糸場で、工女の死体が密室状態の石炭小屋で発見され、友人が失踪する事件が発生。事件には、技術指導するお雇い外国人の偏見や、明治維新という時代の激変によって格差が広がっていた史実など、現代とも無縁ではない社会問題が絡んでいることも分かり、真相が生々しく感じられる、

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